週刊石油展望

著者:三浦 良平
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 先週末のWTI原油は前週比5.53ドル安の76.93ドル、ブレント原油は5.66ドル安の80.67ドルとなった。

 前週末の海外原油はIEA月報において今年の世界石油需要が前年比で日量200万B増の1億190万Bに達し、過去最高水準となる見通しを示したことが支えとなり堅調な推移となった。一方で米利上げへの警戒感からドル高進行したことは上値を抑える格好となった。

 先週は米利上げへの警戒感が高まる中で景気後退懸念が強まったほか、ドル高進行したことなどが重しとなり軟調な推移となった。週明けは4月のNY連銀製造業景気指数が堅調な内容となり、米利上げへの懸念が強まったことからドル高進行したことが重しとなった。翌18日は中国のGDPが前月比+4.5%と堅調な内容だったことから石油需要の増加期待が高まったことは支えになった一方、米利上げによる景気悪化懸念が上値を抑えると往って来いの展開となった。翌19日は引き続き米利上げ観測が重しとなったほか、イラク首相がイラク北部クルド地区からの輸出が今週にも再開すると述べたことが嫌気され上値重い推移となった。週末にかけては米新規失業保険申請件数が増加したほか、4月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数が-31.3と20年5月以来の低水準を記録したことが米景気後退を意識させ軟調な推移となった。

NY原油チャート

 今週の原油相場は押し目の底を模索しつつ、売り一巡後に買い戻される展開が想定されそうか。5月のFOMCにおいて0.25%の利上げがほぼ確実視されている中で、先週の米新規失業保険申請件数やフィラデルフィア連銀景気指数などの経済指標の悪化を受けて景気後退懸念が高まっており、高値から急落する展開となっている。OPECプラスによる減産発表前の水準に近付きつつあり、目先はチャートに空いた窓を埋める形で、WTIベースで76ドル付近までは押し目を継続する展開となりそうか。一方で夏場のドライブシーズンが意識されるほか、中国の石油需要の回復期待などもあり、売り一巡後は買い戻される展開も想定しておきたい。

 

 

このコラムの著者

三浦 良平(ミウラ リョウヘイ)

エネルギー部課長として国内商社や地場SS等を担当。
世界経済の動向、石油現物価格、シンプルなテクニカル分析をもとに相場分析を行います。北海道出身。