[Vol.1475] 円建て金は最高値更新、ドル建ては最高値タイも

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。72.31ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,029.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年09月限は12,070元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年06月限は513.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで953ドル(前日比3.50ドル縮小)、円建てで4,212円(前日比10円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(5月8日 16時30分頃 6番限)
8,757円/g
白金 4,545円/g
ゴム (まだ出来ず)
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「円建ては最高値更新、ドル建ては最高値タイも」
前回は、「プラチナ長期:非西側の出し渋りと脱炭素が支える」として、プラチナの主要鉱山生産国の自由民主主義指数の推移について書きました。

今回は、「円建ては最高値更新、ドル建ては最高値タイも」として、最近の金(ゴールド)市場を取り巻く七つのテーマについて書きます。

国内外の金(ゴールド)相場が騰勢を強めています。先週、小売りや先物などの、国内の金(ゴールド)価格は史上最高値を更新しました。5月2日に国内各所の地金の小売価格が最高値を更新、祝日取引が行われた大阪の先物市場では5月4日(祝)の午前10時前、1グラムあたり8,870円に達しました(中心限月)。

ニューヨークの先物市場では、5月4日の早朝(米国時間の夕方)、中心限月が1トロイオンスあたり2,085.4ドル、期近限月が2,072.0をつけました(期近は史上最高値タイ、中心限月の史上最高値は2020年8月7日につけた2,089.2ドル、いずれも取引時間中の高値)。

今年のゴールデンウィーク期間中は、米国で銀行不安が再燃する中、FOMC、米雇用統計など、複数の大きなイベントがありました。こうした中、米国では、銀行不安が拡大したり、利上げへの不安が再燃したりして「有事ムード」が強まりました。

同時に、株価が乱高下して「代替資産」を求める動きが見られました。「有事ムード」も「代替資産」も、金(ゴールド)相場を動かす七つのテーマの一つです。

また、ドルの乱高下も目立ちました。近い将来の利上げ打ち止めが意識されて下落したり、強い雇用情勢を受けて反発したりしました。七つのテーマの一つ「代替通貨」は、金(ゴールド)相場に、上昇圧力をかけたり、下落圧力をかけたりしました。

国内市場の高値更新、海外市場の高値到達は、複数のテーマ起因の上下両方の圧力が交錯した中で起きたと言えそうです。(一つのテーマだけで高値更新・到達が実現したわけではない)

図:最近の金(ゴールド)市場を取り巻く七つのテーマ(円建ては「ドル円の変動も)
図:最近の金(ゴールド)市場を取り巻く七つのテーマ(円建ては「ドル円の変動も)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。