[Vol.1508] 第三国ではなく、非西側と分類すべし

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。72.30ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,940.55ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)、端午節のため休場。

上海原油(上海国際能源取引中心)、端午節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで998.35ドル(前日比0.15ドル拡大)、円建てで4,590円(前日比75円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月22日 15時08分時点 6番限)
8,796円/g
白金 4,206円/g
ゴム 206.4円/kg
とうもろこし 45,500円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「第三国ではなく、非西側と分類すべし」
前回は、「ロシアや戦争を否定しない国が多数存在」として、グローバルサウスの声サミット参加国の人口シェアについて、述べました。

今回は、「第三国ではなく、非西側と分類すべし」として、リーマンショックを起点に考える、西側・非西側間の「分断」とコモディティ相場への影響について、筆者の考えを述べます。

「グローバルサウス」は、西側勢力にも西側と対立する勢力にも属しない、「第三国」といわれることがありますが、筆者はやや異なる考えを持っています。

前回述べたとおり、「グローバルサウスの声サミット」の参加国の多くがロシアを否定しない回答を続けていることや、同サミット参加国全体の自由民主主義指数(平均)が低下していることを考えれば、彼らは「非西側」に分類できるでしょう。

以下の図のとおり、リーマンショック後、西側と非西側の分断が深化してきました。グローバルサウスの声サミット参加国の自由民主主義指数が2010年ごろから低下し始めたことと、一致します。

リーマンショック後、西側は経済力や政治力を回復させるべく、「環境問題」「人権問題」を提起しました。非西側への配慮を欠いた状態で解消に向けて進み始めたことで、西側と非西側の分断は深まりはじめ、その延長線上でウクライナ危機が勃発したと、筆者は考えています。そして同危機が勃発したことで、分断解消が困難になっています。

同サミット参加国においても、「脱西側」のムードが強まりはじめ、彼らによる、分断起因の「資源の出し渋り(武器利用)リスク」が高まっていると考えられます。非西側に含まれる彼らの動向に、注意が必要です。

図:リーマンショックを起点に考える、西側・非西側間の「分断」とコモディティ相場への影響


出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。