[Vol.1507] ロシアや戦争を否定しない国が多数存在

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。71.50ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,947.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年09月限は12,035元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年08月限は551.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで986.75ドル(前日比7.05ドル拡大)、円建てで4,534円(前日比19円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月21日 16時31分時点 6番限)
8,827円/g
白金 4,293円/g
ゴム 206.5円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「ロシアや戦争を否定しない国が多数存在」
前回は、「人口シェアは50%、GDPは先進国に遠くおよばず」として、グローバルサウスの声サミット参加国の人口シェアについて、述べました。

今回は、「ロシアや戦争を否定しない国が多数存在」として、グローバルサウスの声サミット参加国の人口シェアについて、述べます。

[Vol.1505] グローバルサウスの声サミットに125カ国が参加」で述べた、同サミットに参加した国々の考え方(思想)を考察します。以下は、昨年3月以降、国際連合の総会で行われたウクライナ危機関連の決議において、同サミット参加国がどのような回答をしたのかを示しています。

「賛成」がロシアを否定する回答です。それ以外の「反対」「棄権」「未投票」は、いずれもロシアを否定しない回答です。図のとおり、いずれの決議においても、同サミット参加国による非賛成(反対+棄権+未投票)は、非賛成全体の80%前後です(オレンジ線)。同サミット参加国が、非賛成の温床になっていると言えそうです。

また、同サミット参加国の少なくとも30%、多い場合は60%が、非賛成の姿勢を示しています。恒常的に非賛成を選択する国は少なくありません。

例えば、7回の決議で一度も賛成しなかった(反対、棄権、未投票のいずれかを選択し続けた)国は、全体(125カ国)の20%にあたる25カ国あります。

イラン、キューバ、ベネズエラなど米国の制裁を受けている国々や、ベラルーシ、シリアなどロシアと政治的な関わりが深い国々、コンゴ、アゼルバイジャン、赤道ギニア、スーダンなどの産油国(OPECプラスの国々)です。

こうした国々のロシアを否定しない行動に、西側を否定する意図が含まれているように見えてきます。実際、近年の同サミット参加国の自由民主主義指数※(平均)は低下傾向にあります。

※自由民主主義指数:ヨーテボリ大学(スウェーデン)のV-Dem研究所が公表。行政の抑制と均衡、市民の自由の尊重、法の支配、立法府と司法の独立性など、自由度や民主度をはかる複数の観点から計算され、0と1の間で決定。0に近ければ近いほど、非民主的な傾向が強く、1に近ければ近いほど、民主的な傾向が強いことを示す。

近年の同サミット参加国の思想は、西側が「よし」とする自由で民主的な思想と正反対の方向に進んでいます(同指数が低下傾向)。こうした流れが、ロシアを否定しない回答に導く原動力になっていると、考えられます。

図:グローバルサウスの声サミット参加国のウクライナ危機関連の国連決議の動向
図:グローバルサウスの声サミット参加国のウクライナ危機関連の国連決議の動向

出所:国際連合およびインド外務省の資料をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。