[Vol.1515] 株価指数、ドル、国際商品は明暗分ける

著者:吉田 哲
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原油反発。欧州主要株価指数の反発などで。71.07ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,919.60ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。23年09月限は12,095元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年08月限は550.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1016.95ドル(前日比0.75ドル拡大)、円建てで4,750円(前日比1円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月3日 17時34分時点 6番限)
8,888円/g
白金 4,138円/g
ゴム 206.2円/kg
とうもろこし 40,910円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「株価指数、ドル、国際商品は明暗分ける」
前回は、「この半世紀で起きたコモディティ市場の変化」として、この半世紀で起きたコモディティ市場の変化について、筆者の考えを述べました。

今回は、「株価指数、ドル、国際商品は明暗分ける」として、2023年上半期の主要銘柄の騰落状況(概況)について、述べます。

先週、2023年が折り返しを迎えました。今回は上半期の動向を振り返り、それをヒントに、下半期の動向を展望します。以下は、主要銘柄の上半期の騰落状況です(2022年12月30日と2023年6月30日の終値を比較。暗号資産とコモディティ(国際商品)銘柄はドル建て)。

ビットコインやイーサリアムを中心に、暗号資産の上昇が目立ちました。2022年11月にFTX(元暗号資産大手)が破綻したことが一因となり、年末にかけて暗号資産銘柄が全体的に下落したものの、今年に入り、反発色が鮮明になりました。

また、ナスダックや日経平均を中心に、株価指数の上昇が目立ちました。欧米で銀行の連鎖不安が生じた3月以降、不安定化する場面がみられたものの、5月ごろから堅調な動きになっています。加えて、カカオやオレンジジュース、砂糖、生牛、赤身豚肉などの農産物価格が上昇しました。そして金(ゴールド)価格も上昇しました。

反発色が鮮明になったり、堅調な動きになったり、上昇したりしていることについては、総じて、米国の金融政策が関わっていると考えられます。(米国の金融政策の影響を強く受けるドル指数(複数の主要国通貨に対するドルの総合的な強弱を示す指数)や、米国の10年債利回りは、小規模な動きにとどまった)

下落が目立ったのは、コモディティ(国際商品)銘柄でした。大豆、小麦、トウモロコシといった穀物、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、プラチナ、パラジウムなどの金属、そして、原油、天然ガス(米国・欧州共に)、石炭といったエネルギー銘柄です。下落した銘柄においても、総じて、米国の金融政策が関わっていると考えられます。同時に、米国国内に存在する銀行の不安連鎖も、下落の一因なったと考えられます。

2023年上半期を振り返れば、全体的には「強弱混合(上昇した分野も下落した分野も両方あった)」だと言えますが、分野ごとには明暗がはっきり分かれたと言えるでしょう。次回以降、こうした値動きの主因となったとみられる、2023年上半期に目立った米国発の材料を確認します。

図:2023年上半期の主要銘柄の騰落状況(概況)
図:2023年上半期の主要銘柄の騰落状況(概況)

出所:ブルームバーグのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。