[Vol.1535] NYダウ13連騰とコモディティ高の背景

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。81.49ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。1,995.65ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。23年09月限は12,230元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年09月限は619.8元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1041.05ドル(前日比7.40ドル縮小)、円建てで4,663円(前日比35円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(8月1日 大引け時点 6番限)
8,971円/g
白金 4,308円/g
ゴム 199.7円/kg
とうもろこし 40,850円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「NYダウ13連騰とコモディティ高の背景」
前回は、「36年半ぶりの13連騰でNYダウは5.3%高」として、NYダウ13連騰の背景について、述べました。

今回は、「NYダウ13連騰とコモディティ高の背景」として、NYダウが13連騰した時のコモディティ(国際商品)市場の環境について、述べます。

NYダウが13連騰を演じた期間、米景気が持ち直すことへの期待から、NYダウの他、S&P500種指数、ドイツDAXといった欧米の主要株価指数が上昇しました。また、米金利低下観測を受けて、複数の主要国通貨に対する総合的なドルの強弱を意味する「ドル指数」が下落したり、米国の10年債利回りが低下したりしました。

コモディティ(国際商品)相場に注目すると、生育に適した天候が目立ち、生産量の増加観測が浮上しているトウモロコシ(独自の下落材料あり)を除けば、ほとんどの銘柄が上昇しました。中には、13連騰で注目が集まったNYダウを上回る上昇率となった銘柄が複数ありました。

以下は、この間にコモディティ(国際商品)市場にかかった、二つの上昇圧力について説明しています。NYダウ13連騰の要因となった「景気回復期待増幅観測」「金利低下観測」、それぞれ起因の複数の要因が、株高をもたらし(NYダウ13連騰など)、その株高が需要増加観測(一つ目の上昇圧力)を生んだと、考えられます。

また、「金利低下観測」がもたらした「ドル安観測」は、他の通貨建ての同じ商品に対する割安感を醸成したと考えられます(二つ目の上昇圧力)。

全体的には、NYダウが13連騰した期間は、株高・コモディティ高・ドル安だったわけですが、NYダウを上回る上昇率となった主要なコモディティ銘柄には、その銘柄独自の上昇要因があったと、考えられます。次回以降、上昇率12.6%の小麦、同6.7%の原油、同5.9%のプラチナが抱える独自の上昇要因を、順番に確認します(NYダウの上昇率は5.3%)。

図:NYダウ13連騰時のコモディティ(国際商品)市場の環境
図:NYダウ13連騰時のコモディティ(国際商品)市場の環境

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。