週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比2.74ドル高の84.38ドル、ブレント原油は2.39ドル高の87.56ドルとなった。

 前週末の海外原油は続伸。サウジの自主減産やロシアの輸出削減により需給引き締まりが意識されるなか、米雇用統計が予想を下回る内容となったことでドル安となったことが相場を押し上げた。

 週明け7日は反落。WTIが約3ヶ月半ぶりの高値を付けたことで利益確定の売りが出たほか、一部稼働停止していたロシアから欧州へ石油を送る「ドルジバパイプライン」が8日に再開される見通しであることが重しとなった。また、米国で夏場の需要拡大が目立たないままドライブシーズンが終わりに近づいており、ガソリン需要が鈍化するとの見方も圧迫要因となっている模様。8日は反発。中国の7月貿易統計が弱い内容となったことでWTIで一時80ドルを割れる場面もみられた。しかし、売り一巡後は押し目買いが入ったほか、底堅い米景気見通しに加えて、需給引き締まり観測から相場はプラス圏まで切り返す展開となった。9日は続伸。EIA統計で原油在庫が585万B増加したことは重しとなったものの、OPECプラスの生産調整を背景とした供給不安が引き続き相場を押し上げた。

原油チャート

 今週の原油相場はWTIで90ドルを目指す展開となるか。WTIで前回高値の83ドルを超えてきたことでテクニカル的にも買いが入りやすい状況と思われる。また、サウジの減産やロシアの輸出削減から年後半にかけて需給引き締まりが意識されていることが引き続き相場を支えるだろう。中国の景気回復が懸念されているものの、突発的な材料による上昇相場ではなく、マクロ需給見通しに基づく上昇であることから基調は強いとみる。次の目標は2022年11月の93ドルが目標となり、押し目買いを狙いたいところである。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。