週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比1.05ドル高の67.98ドル、ブレント原油は0.99ドル高の69.92ドルとなった。

 前週末の海外原油はIEAが7月の月報において旅行者数の増加や発電需要などで原油需給の引き締まりを指摘したことが好感され堅調な推移となった。

 先週はロシア制裁への警戒感が後退したほか、在庫の増加などが重しとなり軟調な推移となった。週明けはトランプ大統領がウクライナへの武器供与を発表し、ロシアが停戦に応じなければ制裁を強化する方針を示したものの、50日以内と期限が設けられたことで制裁強化への過度な警戒感が後退し軟調な推移となった。翌15日もロシア制裁への警戒感が後退したことが重しとなると、米国がEUやメキシコに追加関税を課すと伝わったことや米6月CPIの伸びが前月から加速したことからドル高進行したことも圧迫材料となった。翌16日はEIA統計において原油在庫は減少していたものの、製品在庫が予想に反して増加となったことが嫌気され軟調な推移となった。一方でトランプ大統領がFRB議長解任を検討しているとの報を否定したことから株高進行したことは下支えした。週末にかけてはイラク北部クルド人自治区の油田がドローン攻撃を受け、日量14~15万bbl程度生産が減少していると伝わったことが支援材料となった。また、米小売売上高など好調な経済指標を受けて原油需要の増加期待が高まったことも下支えした。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場は強弱まちまちな推移が想定されそうか。警戒されていたロシアへの制裁に50日間の猶予期間が設けられたことから過度な警戒感が後退したほか、トランプ大統領が欧州とメキシコに8月から30%の追加関税を課すと発表するなど、関税賦課による景気悪化は重しとなりそうだ。また、インフレ懸念からドル高進行していることも圧迫材料となっている。一方で、米欧の留出油在庫が低水準で推移しており、需給の引き締まりが意識されやすいことや、直近の好調な米経済指標を受けて原油需要の増加期待が高まっていることは支援材料となりそうであり、強弱材料が交錯する中で方向感を探る展開が想定される。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

岡地株式会社
国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。