[Vol.1585] 「相手を知る」重要性を知る

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。85.41ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。1,895.45ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年01月限は14,840元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年11月限は656.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1022.85ドル(前日比15.65ドル拡大)、円建てで4,884円(前日比30円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月13日 17時48分時点 6番限)
9,061円/g
白金 4,177円/g
ゴム 260.8円/kg
とうもろこし 40,370円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「『相手を知る』重要性を知る」
前回は、「最上流に『コモディティ』あり」として、近年の世の中の全体像(筆者イメージ)を示しました。

今回は、「『相手を知る』重要性を知る」として、「脱炭素下(禍)」の産油国の心境(筆者イメージ)を示します。

相対化(そうたいか)とは、自分以外の存在や考え方を認識し、比較したり議論したりすることで、周辺の環境や当該事象を深く認識したり、(結果的に)自分自身を深く理解したりすることです。

コモディティの市場動向を考える際、多くの場面で自分以外の存在や考え方と相対(あいたい)します。

例えば、以下は脱炭素を推進する西側の主要国と非西側の産油国が相対した場面です。この場合、多くの日本人は西側の主要国側に位置し、非西側の産油国と相対していることになります。

地球温暖化を和らげる策として、西側諸国が中心となって進めている「脱炭素」について、思惑が真っ向から対立していることが分かります。「脱炭素」は、西側にとって正義ですが、非西側の産油国にとっては、立場を危うくする存在です。

われわれは、われわれ西側諸国の向こう側に、「脱炭素」を禍(わざわい)と考えている(かもしれない)非西側の産油国がいることを、認識しなければなりません。「脱炭素」は当事者が互いに相対化しながら、理解し合う必要があるテーマなのです。

コモディティ自体が世界全体をまたにかけたテーマであるため、コモディティ市場の分析においては、自分以外の誰かは必ず登場します。

その存在を無視して分析することは、不可能です。無視できないからこそ、相対化のスキルが必要なのです。同市場の分析に関わることで、そのスキルを磨くことができます。

相対化は、人生において必要不可欠なスキルです。前回述べた俯瞰にもつながりますが、日常生活において、相手がいることだけでなく、相手が置かれている環境、相手が考えていること、を考える必要があります。分からなければ、聴かなければなりません。

良かれと思って進めてきたことが、実は相手を窮地に追いやっていた、などという痛ましい事態にならないためにも、相対化は必要な行為です。相手を知ることで、自分を深く知ることができます。その意味でも、相対化は必要なスキルなのです。

図:「脱炭素下(禍)」の産油国の心境(筆者イメージ)
図:「脱炭素下(禍)」の産油国の心境(筆者イメージ)

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。