金買い続く、第五次中東戦争の可能性も

著者:菊川 弘之
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 先週、国連の安全保障理事会は、イスラエルとハマスの衝突をめぐり「戦闘の一時停止」を求める決議案を採決したが、米国が拒否権を行使し否決された。ブラジル案に対して、日本など12カ国が賛成し採択に必要な9カ国以上の賛成は得られたが、イスラエルを支持している常任理事国の米国が拒否権を行使した。反対したのは米国のみで、イギリスとロシアは棄権。

 安保理決議案は、採択されれば法的拘束力を持つ。今回の決議案には、ガザ北部の住民に対する退避通告の即時撤回要請も含まれていた。米国の拒否権行使は、イスラエルのハマス壊滅に向けた地上作戦を容認する余地を残した。

 米国は21日、新たに安全保障理事会決議案の草案を提示した。イスラエルには自衛の権利があると明記し、イランにハマスなど「地域全体の平和と安全を脅かす武装組織やテロ集団」への武器輸出を停止するよう求める内容。米国の草案は戦闘の一時停止や停戦を求めていない。米国は18日にブラジルが提出した類似の決議案に拒否権を行使して否決させたばかりで、各国の支持を得られるかどうかは不透明。

 米国内におけるイスラエルの政治ロビーの力は強く、米国は過去、イスラエルに不利な安保理決議案には拒否権行使を繰り返してきた。今回もハーバード大学で、ハマスによる攻撃はイスラエルが自ら招いたものだとする一部学生団体の声明に対して、Lブランズ創業者の財団が支援撤回を表明したほか、イスラエル人富豪が理事職を辞任。米著名投資家ビル・アックマン氏が声明に署名した学生は絶対に採用しないとして氏名の公表を求めるなどの極端とも言える反応を見せている。

国連安保理、ガザ停戦決議案で対立
 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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