週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比5.73ドル安の84.46ドル、ブレント原油は3.83ドル安の89.21ドルとなった。

 前週末の海外原油は利食い売りで反落。イスラエル軍のガザ地区への侵攻が近いと見られWTIは一時90.88ドルまで急伸したが、ガザ地区への人道支援協議の進展期待から買いが一服すると利益確定の売り物に上値を削る展開となった。

 先週は中東情勢を背景とした一進一退の神経質な動きとなった。週明け23日は大幅続落。エジプトのラファ検問所を経由した人道支援の開始やハマスが一部人質を解放したことから外交的な解決への期待が高まり緊迫感が緩和した。また、米国がベネズエラに対し来年の大統領選での公正性が確保されることを条件に石油制裁を緩和したことも重しとなった。24日も中東情勢の混乱後退から続落。各国の外交努力からイスラエルのガザ地上侵攻は見送られており、潜在的な石油供給下振れリスクを織り込んだ上げの反動が相場の重しとなった。さらにユーロ圏の総合PMIが46.5まで低下し、5カ月連続で景気判断の分岐点である50を下回り景気悪化懸念が再燃したことも圧迫要因となった。翌25日は反発。EIA統計で米原油在庫が増加したことから売りが強まる場面もあったが、イスラエルのネタニヤフ首相がガザ地区への地上侵攻の時期を決定したと述べたことから中東情勢の緊迫化が警戒され上値を伸ばす流れとなった。26日は反落。中東情勢の緊迫感は高止まりしているものの、局所的な対立にとどまっており、石油供給の下振れリスクが現実となっていないことが相場を圧迫した。

NY原油チャート

 今週の原油相場はチャート的にはペナント形成も中東情勢や日米の金融政策次第で大きく動く可能性もあり注視したい。WTI12月限は9月28日の92.48ドルから10月6日に80.20ドルまで急落、その後反転も20日に89.90ドルを付けた後、再度調整安で25日に82.08ドルまで下落し自律反発局面となっている。中東情勢の緊迫化は一進一退の動きを続けているが、市場もイスラエルの本格的な地上侵攻のタイミングを見極めようとしているようだ。また、来週は月またぎとなるが日銀政策決定会合、FOMC、英金融政策報告、米雇用統計と重要経済指標の発表が控えており、同じリスク資産として原油も金融市場の動きに左右される動きとなるだろう。なお、通常月初に開催されるOPECプラスのJMMCは11月は26日開催予定となっている。サウジアラビアとロシアの自主減産、輸出削減策が来年以降も延長されるか否かが注目される。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。