[Vol.1596] 戦争勃発から三週間を振り返る

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。84.29ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,003.05ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年01月限は14,205元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。23年12月限は667.2元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1088.8ドル(前日比3.90ドル縮小)、円建てで5,270円(前日比32円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(10月30日 17時17分時点 6番限)
9,580円/g
白金 4,310円/g
ゴム 257.4円/kg
とうもろこし 39,650円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「戦争勃発から三週間を振り返る」
前回は、「有事沈静化後も別の材料が下支えする」として、中央銀行が考える金(ゴールド)の保有比率(現在15%)の動向について、確認しました。

今回は、「戦争勃発から三週間を振り返る」として、イスラエル・ガザ戦争勃発後の騰落状況(2023年10月6日と23日を比較)を、確認します。

ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」が、ロケット弾でイスラエルを攻撃してからおよそ三週間が経過しました。この間、イスラエル側が作った壁を隔てたガザ地区側とイスラエル側の死者は、合わせて九千人にのぼると報じられています(10月30日時点)。

戦争勃発直前の10月6日から今週初めまでの騰落率を確認すると、金(ゴールド)とそれに連動する傾向がある銀(シルバー)の上昇が目立っています。原油も上昇しています。

戦争が、資金の逃避先を物色する動きを加速させ、その対象になり得る金(ゴールド)価格を上昇させたり、中東地域からの供給減少懸念を強めたりして、原油価格を上昇させていると、考えられます。同時に起きている株安は、戦争が長期化する気配を感じた投資家の動きを表していると、筆者はみています。

株式・通貨・債券・コモディティ(商品)などの各種市場は、戦争がもたらす恐怖におののいているようです。足元、市場関係者らは、今週予定されている主要国の中央銀行の会合に関心の軸足を移そうとしているものの、やはり戦争を気にせざるを得ない、というのが実情でしょう。

図:イスラエル・ガザ戦争勃発後の騰落状況(2023年10月6日と23日を比較)
図:イスラエル・ガザ戦争勃発後の騰落状況(2023年10月6日と23日を比較)

出所:Investing.comのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。