週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比3.19ドル安の81.27ドル、ブレント原油は3.76ドル安の85.45ドルとなった。

 前週末の海外原油は反発。一時売りが優勢となる場面もみられたものの、ガザ地区の複数の地点でイスラエル軍による激しい攻撃が始まったことが手掛かりとなり上昇する展開となった。

 先週は中東情勢の緊迫感が高まっているものの、石油供給への影響は出ていないことから上値重い推移となった。週明け30日は反落。地政学リスクを背景とした買いが一服し、利益確定の売りが優勢となった。またFOMCや日銀金融政策決定会合などを控えて、持ち高調整の動きも重しとなった模様。31日は続落。中東情勢の混乱が局所的な対立にとどまっており、石油供給の下振れ懸念が後退していることが圧迫要因となった。またFOMCの結果公表を控えて様子見ムードとなっていることも重しとなっている。1日は続落。FOMCで政策金利の据え置きが決定されたが、追加利上げの余地が残されたことが重しとなった。またEIA統計で原油在庫の増加が示されたほか、生産量も過去最高水準で高止まりしていることも圧迫要因となっている。

NY原油チャート

 今週の原油相場はやや上値重い推移となるか。パレスチナ・ガザ地区でイスラエルが侵攻を続けているものの、実際に石油供給に影響が出ないことには買い材料になりにくいと思われる。一方で米7-9月期GDPが示すように米経済は堅調であり、需給見通しはタイトであることから安値では買いが入りやすい展開になるだろう。またFOMCでは追加利上げの可能性を残したものの、市場では12月に利上げを実施する可能性は低いとの見方も広まっており、ドル安が原油を下支えする展開も想定される。テクニカル的にはWTIで前回安値の78ドル付近が下値の目安となりそうだが、まずは節目の80ドルを維持できるかが焦点となるか。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。