[Vol.1603] 中東地域の食料不安が顕在化

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。75.84ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。1,955.20ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年01月限は14,200元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。23年12月限は594.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1080.5ドル(前日比5.80ドル縮小)、円建てで5,265円(前日比4円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月9日 16時30分時点 6番限)
9,461円/g
白金 4,196円/g
ゴム 263.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「中東地域の食料不安が顕在化」
前回は、「『二重ショック』で食料価格高も」として、原油高が食料供給者(関連企業・農家など)にもたらす影響を、確認しました。

今回は、「中東地域の食料不安が顕在化」として、中東地域で食料不安に陥っている人の数とシェア(2022年)、確認します。

以下の図のとおり、FAO(国際連合食糧農業機関)の報告では、ガザ地区の人口の53%にあたる120万人および、同地区周辺のレバノン、イエメン、シリアなどの合計約3,350万人が、今回の紛争以前から深刻な食料不足に陥っていました(2022年)。

現在、ガザ地区の全人口(約230万人)が緊急の人道支援を必要としていますが、戦争が激化した場合、食料不足はガザ地区周辺、激化の程度(規模大・期間長)によっては周辺地区や世界全体に波及する可能性があります。

また、FAOのデータによれば、世界の人口の10分の1強(およそ9億人)が食料不安に、10分の1弱(およそ7億3,500万人)が栄養不足に陥っています(2022年時点)。

こうした状況の中で前回述べた「二重ショック」が起きれば、世界全体で食料不安が拡大する可能性があります。

世界銀行の別のエコノミストは、「深刻なエネルギー・ショックが起きれば、すでに多くの途上国で発生している食料価格のインフレを加速させるだろう。今回の中東での紛争がエスカレートすれば、この地域内だけでなく、世界全体の食料不安が拡大するだろう」という趣旨のコメントをしています。

図:中東地域で食料不安に陥っている人の数とシェア(2022年)
図:中東地域で食料不安に陥っている人の数とシェア(2022年)

出所:世界銀行の資料をもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。