[Vol.1627] 60ドルから最大120ドルで推移か

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。69.86ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,045.05ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年05月限は13,470元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年01月限は529.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1101.75ドル(前日比26.55ドル拡大)、円建てで5,010円(前日比1円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月14日 16時30分時点 6番限)
9,267円/g
白金 4,257円/g
ゴム 235.5円/kg
とうもろこし 36,990円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「60ドルから最大120ドルで推移か」
前回は、「24年は『供給懸念と需要回復の両立』」として、2023年に目立った動向とそれらの2024年の予想について述べました。

今回は、「60ドルから最大120ドルで推移か」として、筆者が考える2024年原油相場見通し(23年12月11日時点)について述べます。

前回、「供給懸念と需要回復の両立」が、2024年の原油相場のテーマになると書きました。原油相場は上昇圧力が下落圧力を相殺する場面が多く、どちらかといえば上昇しやすい、と見ています。以下は2024年の原油相場のイメージです。(WTI原油)

2024年の原油相場は中国悲観論(需要動向:下落圧力)起因の下落圧力がかかるものの、産油国減産継続(産油国動向:上昇圧力)、欧米金融緩和観測(需要動向:上昇圧力)という「供給懸念と需要回復の両立」起因の上昇圧力に支えられながら推移していくと考えています。上値のめどが100ドル、下値のめどが60ドルです(2023年12月11日時点の予想)。

産油国の動向における米国石油開発促進が米大統領選挙の選挙戦・結果に影響を受けて米国石油需要増加に変わったり(上昇圧力に転じる)、需要動向における中国悲観論が景気刺激策などで楽観論に変わったり(上昇圧力に転じる)した場合、全体として上昇圧力が特に大きくなり、価格は一段高になる(最大で120ドルを想定)可能性もあると見ています。

下値のめどを60ドルとした理由の一つに、IMF(国際通貨基金)が今年公表した主要産油国の財政収支が均衡するために必要な原油価格のデータが挙げられます。

IMFの統計で確認できるOPECプラス(非西側産油国らで構成)の国々の財政収支が均衡するために必要な原油価格は、70ドル強です。この水準を大きく下回った状態が長引くと、その国の財政収支は大きく悪化すると考えられます。

これらの国々はそのような事態を避けなければなりません。減産実施はそのための具体策だといえます。減産を実施している状態が変わらなければ、短期的にこの水準(70ドル強)を割ることはあっても、60ドルを割るなど、底割れすることはないと考えています。

図:2024年原油相場見通し(23年12月11日時点) 単位:ドル/バレル
図:2024年原油相場見通し(23年12月11日時点) 単位:ドル/バレル

出所:Investing.comのデータより筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。