週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.96ドル高の71.75ドル、ブレント原油は1.14ドル高の76.81ドルとなった。

 前週末の海外原油は反発。サウジとロシアがOPECプラス加盟各国に対し、減産合意に協力するよう呼び掛けたことが相場を押し上げた。また米雇用統計の予想を上回る内容を受けて、景気先行きを巡る警戒感が後退したことも支援要因となった。

 先週は金利高の長期化観測により急落する場面がみられたものの、FOMCを経てドル安に振れたことが相場を支えた。週明け11日は小幅続伸。米国の景気悪化や需要下振れ懸念が重しとなる一方で、先週の急激な下げに対する反動高が継続した。また、米エネルギー省が最大300万BのSPR補充を発表したことも支援要因となったが、今週のCPIやFOMCを控えて方向感は限定的であった。12日は急反落。11月米CPIの結果を受けて、高水準の政策金利に据え置かれる期間が長引くとの警戒感が強まったことから大きく下げる展開となった。13日は反発。EIA統計で原油在庫が市場予想を上回る取り崩し幅となったことが相場を押し上げた。また、FOMCで2024年に3回の利上げを行うシナリオが示されたことでドルが急落したことでドル建て商品に割安感が生じたことも支援要因となっている。14日は続伸。前日のFOMCで早期利下げの可能性が示唆されたことでドルが下落したことが引き続き相場を押し上げた。またIEA月報で今年10-12月期の需要見通しが下方修正された一方、2024年の需要見通しが上方修正されたことは支援要因となった模様。

原油チャート

 今週の原油相場は上値重い展開となりそうか。FOMCを通過して、早期利下げの可能性からドル安が進行したことは引き続き支えになると思われ、ソフトランディングへの期待の高まりからNYダウも堅調な推移となっている。一方でIEA月報では2023年の世界石油需要見通しが引き下げられており、目先の需要減少への警戒感は残っている。安値では買いが入りやすい環境ではあるだろうが、クリスマス休暇を控えたポジション調整も入るとみられ、戻りは売られる展開が想定される。底入れしたとみているが、引き続き上値は重く、目標はWTIで76ドルといったところか。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。