[Vol.1639] 24年はFRBの利下げ起因の影響大に

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。73.39ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,051.40ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年05月限は13,845元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年02月限は556.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1072.5ドル(前日比15.30ドル拡大)、円建てで5,038円(前日比124円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(1月4日 14時36分時点 6番限)
9,449円/g
白金 4,411円/g
ゴム 254.3円/kg
とうもろこし 37,100円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「24年はFRBの利下げ起因の影響大に」
前回は、「プラチナならまだ間に合う」として、積立投資に適した銘柄の特徴(筆者イメージ)について述べました。

今回は、「24年はFRBの利下げ起因の影響大に」として、2023年の各種銘柄の騰落率について述べます。

今回と次回で、2024年のコモディティ銘柄を用いた投資戦略を考えます。まずは、2023年の動向を振り返り、重要なポイントを抽出します。以下は、2023年前半(2022年12月末~2023年6月末)と、後半(2023年6月末~12月27日)の、主要銘柄の騰落率です。

通年で欧米株・金(ゴールド)高、ドル指数・穀物安が目立ったほか、年後半に、原油や銅、プラチナ(需要のおよそ7割が産業用)といった、景気動向に影響を受けやすい銘柄が上昇しました。

年前半と後半の市場環境の違いを、米国の金融政策に求めることができます。前半は利上げ継続、後半は利上げ打ち止め・利下げ観測浮上でした。FRB(米連邦準備制度理事会)の方針が引き締め的から緩和的になる兆しが見えたことで、年後半よりリスクオン(リスクを取って運用を拡大すること)のムードが徐々に強まり始めたと考えられます。

米国の金融政策については、2023年12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)でパウエルFRB議長が2024年に利下げを行うことを示唆しているため、足元で生じている緩和的になる兆しが2024年に顕在化し、一段とリスクオンのムードが強まる可能性があります。このことは、2023年後半に見られた傾向(欧米株・金・原油・銅・プラチナ高)が強まることを示唆しています。

米国で利下げが行われる(観測含む)と、市場にどのような影響が及ぶのでしょうか。金利が下がると、個人や企業は資金調達をしやすくなります。このことは、景気を回復させる大きな原動力になります。すでに米国のインフレ関連指標は低下傾向にあるため、2022年から2023年にかけて行われてきた利上げによるインフレ退治は終焉を迎えつつあります。このことが、利上げ打ち止め・利下げ開始示唆につながっています。

利下げは景気回復期待を増幅させたり、ドル安やそれによる代替通貨の保有妙味を増加させたり、ドル建て商品の割安感を高めたりします。これらは、株式や原油、非鉄の価格、金(ゴールド)やその他の貴金属価格を上昇させる要因になり得ます。リスクオンのムードが強まれば、農産物相場に上昇圧力がかかる可能性もあります。

足元、米国でインフレ関連指標は低下傾向を示し、インフレ退治という利上げ策が終焉を迎えつつあります。こうした状況の中で突入した2024年は、時間の経過とともに上図で示したシナリオが強まりやすくなると、筆者は考えています。

図:2023年の各種銘柄の騰落率
図:2023年の各種銘柄の騰落率

出所:マーケットスピードIIなどのデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。