週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.93ドル高の73.73ドル、ブレント原油は1.07ドル高の79.18ドルとなった。

 前週末の海外原油はイスラエルによるパレスチナ攻撃が激化している中で中東の地政学リスクが意識されたことが支えとなったほか、海運大手マースクが紅海航路からすべてのコンテナ船を迂回させると発表したことから供給不安が高まり堅調な推移となった。

 先週は石油需要の減少懸念などは重しとなった一方、中東の地政学リスクの高まりを受けた供給不安が支えとなると堅調な推移となった。週明けはサウジアラムコが公式販売価格を大幅に引き下げたことが重しとなったほか、フーシ派と一部海運会社が協議し、紅海を安全に通過できるよう合意したと伝わったことが圧迫材料となり軟調な推移となった。翌9日はイスラエルによるパレスチナ自治区への攻撃が激化しており、ハマスとの戦闘が年内は続く見通しと伝わったことから地政学リスクが高まり堅調な推移となった。また、リビアのシャララ油田が操業を停止したと伝わったことも支援材料となった。翌10日はEIA統計において原油や石油製品在庫が増加していたことが嫌気され軟調な推移となった。また、欧州で景気不安が高まっており、石油需要の減少が意識されたことも重しとなった。週末にかけては米CPIが堅調な内容となったことからドル高進行したことは重しとなった一方、イランが米国への報復としてオマーン沖で米国籍のタンカー船を拿捕したと伝わったことで中東情勢の更なる混乱が意識され堅調な推移となった。また、米国を主導とする連合軍がフーシ派への攻撃を開始したと伝わったことも支えとなった。

原油チャート

 今週の原油相場は上値を試す展開が想定されそうか。イランがオマーン湾でタンカー船を拿捕したと伝わったことを受け、航行リスクが原油の海運が集中するペルシャ湾にも飛び火しており、供給の混乱懸念が高まっている。また、米英軍がフーシ派への軍事攻撃を開始し、地政学リスクが高まっていることも支援材料となりそうだ。ガザやフーシ派への攻撃など中東情勢の緊張感が高まっている中で、有力な産油国であるイランにも戦火が拡大するようであれば原油相場が吹き上げる可能性も考慮しておきたいところか。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。