水星逆行開始!!ダマシに注意

著者:菊川 弘之
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 足もとでは、米中貿易協議進展観測に加え、英国の欧州連合(EU)離脱問題に対する過度な懸念の後退を受け、S&P500種株価指数が過去最高値を更新するなど株高の流れとなっているが、今後のスケジュールを見ると、リスクオンとリスクオフ要因次第で、日替わりでのアップダウンも想定される。

日米の金融政策にサプライズがあるのか否か、英国の総選挙が実施されるのか否か、に続いて、月末にはトランプ米大統領のウクライナ疑惑をめぐる下院の弾劾調査で、民主党は手続きを進めることへの賛否を問う決議を31日に採決する方針を表明している。弾劾のハードルは高いとみられるものの、世論調査では弾劾調査支持が不支持を上回っており、要注意。米大統領選挙に向けて、株高演出のために、安易な中国との妥協を牽制する動きも党派を超えてみられる。

 24日のペンス副大統領講演では、「改革開放に回帰を」と呼びかける用語が昨年10月のハドソン研究所講演の9%から19%に上昇したことを、「対中融和姿勢」と好感する動きとなったが、「中国に深く失望」が5%から10%、「知財で略奪」が3%から7%、「覇権奪取に失敗する」が5%から18%に上伸しており、中国を抑え込む必要アリとの基本姿勢に変化はない。

 10月FOMCでは追加利下げが確実視されているが、過去の利下げ局面を振り返ると、利下げ後、一定時間をおいてリセッション入りしており、トランプ大統領が大統領選挙に向けて、株価下支え策を採り、延命されたとしても、1年以内のリセッション確率は上がっており、株高や予防的利下げ打ち止め観測や、内部要因・テクニカル絡みで、金に調整が入ったとしても、安値圏での滞空時間は短いと予想する。

 11月のNY金の月間騰落傾向は、1990年以降は買い優勢であるものの、アベノミクス以降では、ドル高傾向を嫌気して下落傾向が強い地合いとなっている。一時的な下落はあるかもしれないが安値売込みは避けたいと考える。

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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