シェールの開発過程を確認する

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反発。主要株価指数の反発などで。55.44ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,493.25ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年01月限は11,955元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。19年12月限は452.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで567.65ドル(前日比2.05ドル拡大)、円建てで1,970円(前日比2円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(10月30日 19時1分頃 先限)
 5,205円/g 白金 3,235円/g 原油 38,460円/kl
ゴム 173.2円/kg とうもろこし 24,150円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)


出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「シェールの開発過程を確認する」

前回は「なぜ2017年12月にシェール主要地区の組み換えが行われたのか?」として、米国内の複数のシェール主要地区の変遷について書きました。

今回は、そのシェール主要地区における開発過程の全体像について書きます。

以下の図のとおり、掘削する場所を探す“探索”、掘削(穴掘りであり、原油の生産ではない)や原油の生産ができるように井戸を整備する仕上げをする“開発”、そして“生産”です。

開発は通常およそ4から6カ月、あるいはそれ以上かかると言われています。

この間に、掘削が行われ、仕上げが行われ、生産が始まるわけです。

“稼働リグ数”というデータがあります。米国の石油開発関連企業のベイカーフューズ社が毎週公表するデータです。

リグの数が増えれば、原油生産量が増加する、という話がありますが、それは必ずしも正しいとは言えません。

以前の「現在は“リグ減・米原油生産量増”があたりまえ」で書いた通り、現在は稼働リグ数の減少と原油生産量の増加が同時に起きています。

その際、図の中央に書いた“掘削済・未仕上げ抗井(DUC)”の存在について触れました。

このDUCは掘削と仕上げの中間に位置する、いわゆる仕掛中の在庫のような存在で、掘削が完了した掘削済井戸数から、仕上げが完了した仕上げ済井戸数を差し引くことで求められます。

リグが開発の前半部分の「掘削」にのみ使われること、そして現在のように、DUCを取り崩して生産が行われていることを、認識しなければ、リグが減少しているのに、なぜ原油生産量が減少しないのか?という問いに答えられないままになってしまいます。

図:シェール開発過程の全体像(筆者のイメージ)


出所:筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。