週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比2.71ドル高の76.84ドル、ブレント原油は3.05ドル高の82.09ドルとなった。

 前週末の海外原油は反落。中東情勢の緊迫化を背景とした買いが一服、中国経済の成長鈍化や米欧の根強い景気後退懸念が利益確定の動きにつながり3営業日ぶりの下落となった。

 先週は中東情勢の懸念に加え中国の利下げ、米国の景気後退県の後退を受け戻り高値を更新する動きとなった。週明け22日は急反発。先週からの寒波で米ノースダコタ州では原油生産が日量35~40万B減少している。加えて、ロシア天然ガス大手ノバテクのウルチルガにある石油関連施設がウクライナによるドローン攻撃をうけ火災が発生、巨大輸出ターミナルが一部操業停止となったことで供給不安が高まり相場を押し上げた。23日は来週のFOMCを控え模様眺めの動きで小反落。来週31日のFOMCでパウエルFRB議長が利下げに言及可能性が高く、積極的な売買が見送られている。また、リビア国営会社が同国最大のシャララ油田の不可抗力条項を解除し、操業を再開すると発表したことも上値を抑える要因となった。翌24日は中国の景気支援策を受け反発。中国人民銀行が預金準備率の0.5%引き下げを発表し景気テコ入れ期待から相場が支えられた。また、EIAの週報で原油在庫が923.3万Bの大幅減少、寒波の影響で米原油生産量は日量1230万Bと前週に比べ100万B減少となったことが買い材料視された。25日は続伸し2カ月ぶりの高値。紅海でフーシ派による妨害行為が継続しておりイエメン戦争のリスクが高まっている。また、昨年第4四半期の米GDPが前期比+3.3%と市場予想(+2.0%)を大きく上回ったことから米景気減速に伴うエネルギー需要への懸念が後退したことも原油相場を支援した。

NY原油チャート

 今週の原油相場はレンジアップの動きも値動きの荒い展開が想定される。WTI3月限は12月以降続いた70ドル台前半のレンジ相場を上抜ける流れとなった。9月19日の高値86.68ドルから12月13日の安値68.28ドルの半値戻しを達成しており、上値は軽くなってきている。ただ、来週は31日にFOMC公表、1日にOPECプラス合同閣僚監視委員会、2日に米雇用統計と重要イベントが盛りだくさんで流れが読みにくい。現状、中東地域の地政学的リスクは継続するとみられることから下値は限定的とみるが、日柄的に26日は満月でもあり利益確定の売りをあびやすく高値掴みは避けたい。ちなみに前回満月の12月27日は75ドル台後半から陰線引けとなり、1月3日の69ドル台半ばまで下落して押し目底をつける形となった。来週は焦らず買い場探しの方針で臨みたい。レンジアップをうけWTIは72~80ドルを想定する。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。