週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.13ドル高の78.21ドル、ブレント原油は0.55ドル高の83.31ドルとなった。

 前週末の海外原油は続伸。イスラエル軍がガザ南部の最大規模の病院に部隊を突入させるなど、中東情勢を巡る地政学リスクが高まっていることが相場を押し上げた。また、米プレジデントデーを控えたポジション調整の買い戻しも入った模様。

 先週は特に新たな材料もなく、引き続き中東情勢への警戒感が支えとなり高値圏での推移となった。週明け19日は小動き。米国市場が休場となるなか、中東情勢への警戒感は支えとなっているが、中国経済の先行き不透明感が重しとなるなど強弱材料入り交じり方向感に欠ける展開となった。20日は反落。世界最大の石油消費国である米国で金利が高止まりしており、同国の景気悪化が意識される格好となった。また前週の上昇に対する利益確定の売りも出やすかった模様。21日は反発。前半は中国の需要懸念などから売りが先行したが、リビアの製油所の稼働停止が報じられたことをきっかけに反発する展開となった。ただ、月曜日が休場となったことで木曜日にEIA在庫統計を控えており、様子見姿勢から上値を試す展開とはならなかった。

原油チャート

 今週の原油相場は引き続き中東情勢への警戒感を背景に高値での推移となるか。イエメン・フーシ派による紅海での船舶攻撃が続くなか、イスラエルのガザ地区への攻撃が激しさを増している。21日もガザ地区南部ラファへ空爆を行っており、また来月10日ごろに始まるイスラム教の断食月ラマダンまでに人質を解放しなければイスラエルは地上侵攻を行うと示唆しており、緊迫感はさらに高まっている。仮に停戦協議が再開となれば急落する展開も想定されるが、現時点では協議が進展するかは不透明な状況であり、地上侵攻は時間の問題だろう。目先は押し目買いが優勢となり、WTIで80ドルを試す展開を予想する。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。