[Vol.1674] エネルギー価格急落で広がった安心感

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。77.67ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,045.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年05月限は13,965元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年04月限は602.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1152.4ドル(前日比5.40ドル縮小)、円建てで5,528円(前日比15円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月27日 18時14分時点 6番限)
9,840円/g
白金 4,312円/g
ゴム -円/kg
とうもろこし 35,770円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードⅡ」より

●本日のグラフ「エネルギー価格急落で広がった安心感」
前回は、「まるで『脱ウクライナ危機』」として、ウクライナ関連のロシアを非難する国連総会決議(危機勃発直後および2023年)について述べました。

今回は、「エネルギー価格急落で広がった安心感」として、エネルギー価格の推移(2008年1月を100)について述べます。

侵攻から1年が経過した2023年2月、ロシアを非難する国連総会の決議は、侵攻直後並みの賛成票(73%)がありました。前回述べたその後の賛成票の急減、つまり棄権・欠席の急増が確認されたのは同年5月ですので、同年の春に大きな出来事があったと考えられます。筆者が注目したのは、エネルギー価格の推移です。以下は、天然ガス、石炭、原油の価格推移です。

ウクライナ戦争が勃発した直後、一斉に西側諸国がロシアにさまざまな制裁を科したことでロシア産のエネルギーの流通量が減少し、世界的なエネルギーの供給減少懸念が高まりました。これにより、各種エネルギー価格は急騰状態に入りました。

このことは、世界中にウクライナ戦争とエネルギー価格が連動している印象を広め、エネルギー価格の動向が、ウクライナ戦争がもたらす危機のバロメーターになりました。

こうした状況の中、2023年春、エネルギー価格は急落しました。ウクライナ戦争勃発前から発生していたインフレや戦争起因の景気後退、インフレ退治のために行われた米国での利上げをきっかけとしたドル高によるドル建てコモディティ(国際商品)全般の割高感醸成など、インフレ起因の西側諸国が関わる複数の事象が一度に重なったことで急落が発生しました。欧米の銀行の連鎖破綻や中国の景気後退懸念などが下落に拍車をかけました。

エネルギー価格の急落、すなわちバロメーターが危機低下を示したことを機に、ウクライナ戦争が沈静化しているというムードが生まれたと考えられます。2023年春ごろに起きたこうした出来事が「脱ウクライナ危機」の一因になったと考えられます。

西側諸国が躍起になってインフレ退治をし、それが功を奏したものの、結果としてインフレ退治がウクライナ戦争への関心低下を促してしまったともいえます。

図:エネルギー価格の推移(2008年1月を100)
図:エネルギー価格の推移(2008年1月を100)

出所:世界銀行のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。