金とビットコイン共に、利喰いこなしながら歴史的な上昇継続

著者:菊川 弘之
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 これまで、金とビットコインは、ドルなどの既存通貨に対する代替資産として、値動きの相関が高まる時期と、代替資産同士の中での資金シフトで逆相関の動きとなるケースがあったが、年が明けて以降はいくつかの材料を背景に、資金効率の良いビットコインに金から資金が流れた。

 暗号資産(仮想通貨)ビットコインが2月28日、約2年ぶりに6万ドルを突破した。米国で1月にビットコインの現物に連動する上場投資信託(ETF)が承認されたことが追い風となっている。1月に米証券取引委員会(SEC)がビットコイン現物で運用するETF上場を承認し、1月11日から取引が始まった。上場初日に一旦は「知ったら終い(仕舞い)」で調整に入ったが押し目はすかさず買い直され、3月13日に7万3000ドルを超えた。24時間で2.5%上昇した計算になる。

 通常の証券口座でビットコイン投資できるETFの購入需要は強く、ファンド新規設定を通じてビットコイン現物の買い圧力となっている。米ブラックロックのETFは上場後1ヶ月半で運用規模が70億ドル(約1兆500億円)、米フィデリティのETFも50億ドルをそれぞれ突破した。

 また、ビットコイン取引を承認するマイニング(採掘)の対価として採掘事業者に支払われる報酬が半分になる「半減期」は4月19日頃の予定だ。ビットコインの半減期とは取引を検証し、ブロックチェーン上に新しいブロックを作成することに対して、マイナーにビットコインで支払われる報酬を半減させる定期的なイベントを指す。半減期はおよそ4年ごとに発生、具体的にはビットコイン・ブロックチェーン上で21万ブロックが生成されるたびに行われる。半減期を中心とした過去3回のサイクルでは、4年に一度の半減期までの8週間で価格が30%以上上昇している。

金とビットコイン、現物ETF上場後の推移
 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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