[Vol.1700] 「コモディティ市場分析」は強力な武器

著者:吉田 哲
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原油反落。中東情勢混迷をきっかけとした急反発の反動などで。85.20ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米10年債利回りの反発などで。2,311.95ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)清明節のため休場。

上海原油(上海国際能源取引中心)清明節のため休場。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1358ドル(前日比10.50ドル縮小)、円建てで6,622円(前日比12円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(4月4日 17時20分時点 6番限)
11,184円/g
白金 4,562円/g
ゴム 327.4円/kg
とうもろこし 40,120円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「『コモディティ市場分析』は強力な武器」
前回は、「世界分断は物価高の一因でもある」として、2010年以降の世界的なリスク拡大と金・原油・株高の背景(筆者イメージ)について述べました。

今回は、「『コモディティ市場分析』は強力な武器」として、分断と矛盾の世界を生き抜くために必要なスキルとコモディティ市場分析について述べます。

分断と矛盾の世界を生き抜くために必要なスキルについて考えます。筆者が考える分断と矛盾の世界を生き抜くために必要なスキルは、分断を認める、矛盾を意識する、俯瞰(ふかん)する、疑うことを習慣化する、自律・自立する、の五つです。これらがあれば、たとえ難しい環境に置かれていても、自分らしく生きていくことができるでしょう当然、分断と矛盾の世界でも生きていけるでしょう。

それぞれの対極の関係にある「やってはいけない」ことが、自分だけの正義を貫く、過去や常識に固執する、ゼロかイチで考える、見たいものだけ見る、徒党を組む、です。これらの「やってはいけない」ことをしないようにするだけで、おのずと分断と矛盾に満ちた世界を生き抜くヒントがうっすらと見えてくるでしょう。

必要であるとしたスキルの中で特に重要なのは、「俯瞰する」です。なぜ分断が起きているのか、何が矛盾を生んでいるのか、などを考える際に欠かせない考え方だからです。ゼロかイチの発想(完全な正義か完全な悪かのどちらかなど)では到底思いつかない考え方に出会うことができます。俯瞰は本当に重要で楽しい作業です。

例えば、コモディティ市場は川上・川中・川下のうち、川上に位置付けることができます。この位置関係を頭の中に置いておくだけで、さまざまな市場動向の解説を格段にしやすくなります。(コモディティに限らず)世の中で起きているさまざまなことを、川上・川中・川下に分類していくと、情報の整理がしやすくなるでしょう。少なくとも因果関係が逆になって混乱することは減ると思います。

筆者は、「コモディティ市場分析」は、必要な五つのスキルを磨くために最適な教材であると考えています。日々の業務の中でそのように感じることが多々あります。「やってはいけない」ことは、筆者が日々の業務の中でやらないように意識していることの一部でもあります。

図:分断と矛盾の世界を生き抜くために必要なスキルとコモディティ市場分析
図:分断と矛盾の世界を生き抜くために必要なスキルとコモディティ市場分析

出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。