原油反落。米主要株価指数の反落などで。83.19ドル/バレル近辺で推移。
金反落。米10年債利回りの反発などで。2,399.70ドル/トロイオンス近辺で推移。
上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年09月限は14,565元/トン付近で推移。
上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年06月限は651.7元/バレル付近で推移。
金・プラチナの価格差、ドル建てで1449.75ドル(前日比6.25ドル拡大)、円建てで7,176円(前日比7円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。
国内市場は以下のとおり。(4月19日 17時39分時点 6番限)
金 11,839円/g
白金 4,663円/g
ゴム 309.2円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)
●NY金先物(期近) 日足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成
●本日のグラフ「原油相場はイランの動向次第で一段高」
前回は、「2010年の世界分断深化元年が事の発端」として、2022年以降の金(ゴールド)、原油、米国株高の背景(筆者イメージ)について述べました。
今回は、「原油相場はイランの動向次第で一段高」として、イランの原油輸出量と財政収支均衡に必要な原油価格について述べます。
国連や米国などは2000年代半ばから断続的にイランに制裁を科しています。核開発を進めるイランをけん制するためです。米国が同盟国にイラン産原油を輸入しないことを呼びかけ、日本もそれに応じています。
以下の図の通り、制裁をきっかけにイランの原油輸出量は目に見えて減少しています。2022年は2012年に比べ半分以下になりました、制裁がイランに与える影響は原油輸出量の減少やそれによる輸入総額の減少だけではありません。図中のオレンジの点線の通り、IMF(国際通貨基金)が公表しているイランの財政収支均衡に必要な原油価格を、上昇させます。
イランの財政事情が急激に悪化する制裁時は、財政を安定させるために一定水準の原油価格が必要になります。原油輸出量が減少して失われる収入を、原油価格という単価を引き上げることで補う、という考え方です。
2022年の同原油価格はおよそ260ドルでした。このデータは、原油価格がこのようなとてつもなく高い水準でなければ、イランの財政は均衡しないことを示唆しています。それだけ、制裁下にありイランの財政は危機的な状況にあると言えます。
原油埋蔵量が世界第三位(オイルサンド除く)と、豊富な資源を持っているものの、思うように輸出できない環境を強いられている状態は、財政事情が悪化しているイランにとって本意ではないはずです。イランは今、こうした状況の中で、ハマスやフーシ派、ヒズボラなど中東で活動するイスラム武装組織「抵抗の枢軸」を支援したり、イスラエルの本土を攻撃したり、核兵器開発をちらつかせたりしているのです。
また、イランはOPECプラスの一員として産油国としての影響力を誇示したり、2024年1月よりBRICSプラスに加わったりして、非西側の急先鋒として頭角を現しています。イランは既に、近年目立つ、西側と非西側の分断の行方を左右し得る重要な立ち位置にあると言えます。
このため、国際社会はイランの積年の恨みが顕在化するリスクを警戒しなければならない時期にいると筆者は考えています。Energy Instituteのデータによれば、中東地域からの原油輸出シェアはおよそ35%です(2022年)。
イランが行使できる「ホルムズ海峡封鎖」は、イラン自身にもダメージを与える諸刃の剣ですが、イランがもし本気で、世界分断の一因をつくったり、イスラエルを擁護したり、ESGで産油国を攻撃したり、制裁を科して財政を悪化させたりして、西側への恨みをはらすことを優先した場合、封鎖しない保証はどこにもありません。
原油高が、西側に高インフレをもたらし、経済不安だけでなく金融政策の方向性を不透明にするなどの複数の懸念をふりまくきっかけになることを、イランは当然知っているでしょう。イランが海峡封鎖のカードを切った場合、原油相場はもう一段(一段と言わず何段も)高になる可能性があり、注意が必要です。
図:イランの原油輸出量と財政収支均衡に必要な原油価格
出所:IMFおよびOPECのデータより筆者作成
金反落。米10年債利回りの反発などで。2,399.70ドル/トロイオンス近辺で推移。
上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年09月限は14,565元/トン付近で推移。
上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年06月限は651.7元/バレル付近で推移。
金・プラチナの価格差、ドル建てで1449.75ドル(前日比6.25ドル拡大)、円建てで7,176円(前日比7円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。
国内市場は以下のとおり。(4月19日 17時39分時点 6番限)
金 11,839円/g
白金 4,663円/g
ゴム 309.2円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)
●NY金先物(期近) 日足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成
●本日のグラフ「原油相場はイランの動向次第で一段高」
前回は、「2010年の世界分断深化元年が事の発端」として、2022年以降の金(ゴールド)、原油、米国株高の背景(筆者イメージ)について述べました。
今回は、「原油相場はイランの動向次第で一段高」として、イランの原油輸出量と財政収支均衡に必要な原油価格について述べます。
国連や米国などは2000年代半ばから断続的にイランに制裁を科しています。核開発を進めるイランをけん制するためです。米国が同盟国にイラン産原油を輸入しないことを呼びかけ、日本もそれに応じています。
以下の図の通り、制裁をきっかけにイランの原油輸出量は目に見えて減少しています。2022年は2012年に比べ半分以下になりました、制裁がイランに与える影響は原油輸出量の減少やそれによる輸入総額の減少だけではありません。図中のオレンジの点線の通り、IMF(国際通貨基金)が公表しているイランの財政収支均衡に必要な原油価格を、上昇させます。
イランの財政事情が急激に悪化する制裁時は、財政を安定させるために一定水準の原油価格が必要になります。原油輸出量が減少して失われる収入を、原油価格という単価を引き上げることで補う、という考え方です。
2022年の同原油価格はおよそ260ドルでした。このデータは、原油価格がこのようなとてつもなく高い水準でなければ、イランの財政は均衡しないことを示唆しています。それだけ、制裁下にありイランの財政は危機的な状況にあると言えます。
原油埋蔵量が世界第三位(オイルサンド除く)と、豊富な資源を持っているものの、思うように輸出できない環境を強いられている状態は、財政事情が悪化しているイランにとって本意ではないはずです。イランは今、こうした状況の中で、ハマスやフーシ派、ヒズボラなど中東で活動するイスラム武装組織「抵抗の枢軸」を支援したり、イスラエルの本土を攻撃したり、核兵器開発をちらつかせたりしているのです。
また、イランはOPECプラスの一員として産油国としての影響力を誇示したり、2024年1月よりBRICSプラスに加わったりして、非西側の急先鋒として頭角を現しています。イランは既に、近年目立つ、西側と非西側の分断の行方を左右し得る重要な立ち位置にあると言えます。
このため、国際社会はイランの積年の恨みが顕在化するリスクを警戒しなければならない時期にいると筆者は考えています。Energy Instituteのデータによれば、中東地域からの原油輸出シェアはおよそ35%です(2022年)。
イランが行使できる「ホルムズ海峡封鎖」は、イラン自身にもダメージを与える諸刃の剣ですが、イランがもし本気で、世界分断の一因をつくったり、イスラエルを擁護したり、ESGで産油国を攻撃したり、制裁を科して財政を悪化させたりして、西側への恨みをはらすことを優先した場合、封鎖しない保証はどこにもありません。
原油高が、西側に高インフレをもたらし、経済不安だけでなく金融政策の方向性を不透明にするなどの複数の懸念をふりまくきっかけになることを、イランは当然知っているでしょう。イランが海峡封鎖のカードを切った場合、原油相場はもう一段(一段と言わず何段も)高になる可能性があり、注意が必要です。
図:イランの原油輸出量と財政収支均衡に必要な原油価格
出所:IMFおよびOPECのデータより筆者作成