米石油収支、黒字化の主因は原油輸出量の増加

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。56.88ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,470.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年01月限は11,985元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。19年12月限は454.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで560.55ドル(前日比7.1ドル拡大)、円建てで1,968円(前日比19円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(11月8日 大引け 先限)
 5,149円/g 白金 3,181円/g 原油 38,530円/kl
ゴム 177.5円/kg とうもろこし 23,490円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「米石油収支、黒字化の主因は原油輸出量の増加」

今回は「米石油収支、黒字化の主因は原油輸出量の増加」として、数量ベースの米国の石油の輸出入について確認します。

“石油”について、ここでは、広義の石油、具体的には原油と石油製品の合計と考えます。

以下のグラフは、米国の原油輸出量、石油製品の輸出量、そして石油(原油と石油製品の合計)の輸入量を示しています。

直近のデータは2019年8月で、この月の米国の原油輸出量は日量288万4420バレル、石油製品の輸出量は日量530万6680バレル、そして石油(原油と石油製品の合計)の輸入量は日量932万7360バレルでした。

前回の「米石油貿易収支、初の黒字」で述べた石油収支(金額ベース)の黒字化は、石油の輸出量が輸入量に肉薄したことが主因と考えられます。

以前の「増加し続ける米国の原油輸出量①」で書いたとおり、米国の原油輸出の段階的な解禁後、原油輸出量が増加しました。

この点が石油全体の輸出量を増加させたと言えます。

2019年8月時点の石油輸出量に占める原油輸出量の割合は35.2%で、超軽質原油の輸出が解禁された2014年6月ごろの12.3%、原油の輸出が解禁された2015年12月ごろの10.4%に比べれば、3倍程度になっています。

石油製品の輸出量も増加しているのですが、目立って増加しているのは原油の輸出量です。

一方、2013年ごろからは、石油の輸入量はおおむね横ばいとなっています。

横ばいの輸入量に対し、原油の輸出量が大きく増加、石油製品の輸出量も増加したことにより、石油の輸入量と輸出量がほとんど同じになったわけです。

石油の消費国においては、米国からの輸入(米国の輸出)は、中東依存度を下げる効果が期待されるため、今後、特に東アジアやインドなどで増加する可能性があります。

そうなれば、金額ベースだけでなく、数量ベースでも輸出が輸入を上回ることが想定されます。

図:米国における石油の輸出・輸入量 単位:千バレル/日量
米国における石油の輸出・輸入量

出所:JODIのデータをもとに筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。