[Vol.1742] 「価格低迷が歓迎される世界」がある

著者:吉田 哲
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原油反発。米主要株価指数の反発などで。74.42ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,379.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年09月限は15,560元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年07月限は577.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1374.55ドル(前日比0.65ドル縮小)、円建てで6,844円(前日比25円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(6月6日 18時56分時点 6番限)
11,866円/g
白金 5,022円/g
ゴム 345.5円/kg
とうもろこし 39,000円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「『価格低迷が歓迎される世界』がある」
前回は、「主要供給国の民主的度合いの低下は深刻」として、プラチナの主要鉱山生産国の自由民主主義指数について述べました。

今回は、「『価格低迷が歓迎される世界』がある」として、積み立てシミュレーション(3パターンの価格推移)について述べます。

前回までの数回で、プラチナ相場は長期視点の低迷状態にあること、今後長期視点で需要増加・供給減少によって価格反発が起きる可能性があることを、述べました。個人投資家の皆さまにとって、「価格低迷」は、投資対象になり得るのでしょうか。

仮に、以下の価格推移を演じる商品があるとします。暴騰パターンと暴落パターン、低迷パターン、50年後にどのパターンの収益が大きくなるでしょうか。条件は、「積み立て」で取引すること(毎月1万円)、手数料は買付時に1.65%(税込)、分配金・配当なし、再投資せず、です。

プラチナの相場環境に近いのは「低迷パターン」です。このパターンは、40年間、長期低迷を強いられた後、最後の10年間でようやく上昇することが許され、多少の価格反発をもって取引を終えます。どのパターンの収益が大きくなるのでしょうか。条件は、「積み立て」で取引をすることです。

正解はプラチナを模した「低迷パターン」です。最終的な累積の資産の額は、他の二つのパターンを圧倒しました。

最終的な累積資産額(保有数量×価格)は、暴騰パターンがおよそ750万円、暴落パターンがおよそ780万円、低迷パターンがおよそ2,100万円、でした。1万円を600カ月(50年間)、投資し続けるため、投資金の合計は600万円です。このため投資金に対する最終的な資産の額は、暴騰パターンが1.26倍、暴落パターンが1.31倍、低迷パターンが3.51倍でした。

図:積み立てシミュレーション(3パターンの価格推移) 単位:円/グラム
図:積み立てシミュレーション(3パターンの価格推移) 単位:円/グラム
出所:国内大手地金商のデータを基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。