週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比2.54ドル高の78.12ドル、ブレント原油は2.47ドル高の82.35ドルとなった。

 前週末の海外原油は横ばい。5月米雇用統計が市場予想を上回る堅調な内容となり、利下げ期待が後退したことが重しとなった。一方でサウジのエネルギー相が10月以降の減産縮小について、停止や撤回も可能と表明したことは支えとなった。

 先週はOPECプラスが減産縮小の停止や撤回もあると警告したことや、米ドライブシーズンでの需要増加期待が支えとなり、先週の下げを取り戻す展開となった。週明け10日は上昇。安値拾いの買いが入ったほか、米国のドライブシーズン入りで燃料需要の増加期待も相場を押し上げる格好となった。11日は小幅続伸。ドル高が重しとなり売りが先行したものの、EIAが6月の短期エネルギー見通しで2024年の石油需要の伸びを日量90万Bから同110万Bに上方修正したことがきっかけとなり反転する展開となった。また、OPECが月報で2024年や2025年の世界の需要見通しを据え置いたことも支えとなった模様。12日は続伸。5月米CPIが予想を下回ったことで一時ドルが売られ、原油は買いが先行する展開となった。しかし、EIA統計で原油、製品在庫の増加が示されると急落し、安値からはやや値を戻したものの、FOMCで年内の利下げ回数が1回と示唆されたことも重しとなり上値は抑えられた。13日は続伸。イスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエルの交戦が拡大していることが懸念されているほか、米新規失業保険申請件数が予想を上回ったことや、5月PPIの鈍化を手掛かりにやや利下げ期待が高まったことも支えとなった。

原油チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場は上値重く、戻り売り優勢の展開となるか。先週は前週の下落に対する反動や、米ドライブシーズンによる需要増加期待、中東情勢への警戒感から上昇となったが、WTIで80ドルを達成できずに上値を抑えられる格好となっている。FOMCを経て米利下げ期待も後退したものの、目先は地政学リスクが意識されているほか、季節的な需要拡大期待も支えとなっており、下値は限定的となりそうだ。下値の目安はWTIで75ドルといったところか。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。