年に一度か二度

その他
著者:近藤 雅世
 多くの投資家は、資金があるため、それを投資したがる。お金のない人はそれ程投資に興味が沸かないが、突然大金が入ったりするとそれを殖やしたくなるものである。周囲には利殖で大儲けした人の話題が転がっている。自分もあやかりたいと思うのが人間の常であろう。

 そうした投資家は、投資の回数を増やせば利益は倍増するかもしれないという根拠のない信念を持ちたがる。投資するには時間が足りないので、投資の回数を増やせばそれだけ当たる確率も増えるだろうと錯覚するのである。だから、大きな資金を持った人はデイトレーダーになる人が多い。

 数学には大数の法則というのがあって、回数を増やせば増やすほど平均に近づくというものである。勝ち負けは平準化して結局手数料分だけ持ち出しとなる。また回数を増やせば増やすほど、大きく負ける確率も増えるので、大きく勝って投資から引き揚げることができる人は良いが、まだまだこの程度ではと更に投資を続けると、結局大負けの時に資金が尽きることになる。大金といってもそれほどの大金ではないからだ。

 私の知っているファンドマネージャーは年に2度しか投資しない。彼に言わせれば、絶対おかしいと思える機会は、年に一度か二度しか訪れないのだそうだ。価格が上がり過ぎとか下がり過ぎと思われる時で、かつ、上げの勢いが少し弱くなった時が狙いどころであろう。勢いとは出来高とか、価格上昇の背景にあった根拠の威勢が殺がれ始めた時のことをいう。

 パフォーマンスの良い投資家は、ほとんど投資をしない人であるかもしれない。

 大金を稼いだ人はさっさと市場から立ち去り、その資金で他の事業を行ったり評論家になったりする。私の知っている35歳で億万長者になったシカゴの債券トレーダーは、1日2千万ドルの債券投資をある日突然止めて、CBOTの入っているビルのオーナーになっている。
 

このコラムの著者

近藤 雅世(コンドウ マサヨ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。商品ファンドを日本で初めて作った一人。2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンスを設立。代表取締役社長就任。 URL:http://commi.cc/ eメール:kondo@commi.cc