[Vol.1767] 「価格低迷が積立を有利にする」ことを理解

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。82.19ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,388.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。24年09月限は14,685元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年08月限は625.3元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1391.25ドル(前日比18.25ドル拡大)、円建てで7,269円(前日比44円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月11日 18時01分時点 6番限)
12,405円/g
白金 5,136円/g
ゴム 325.2円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NYプラチナ先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「『価格低迷が積立を有利にする』ことを理解」
前回は、「『SNSとESGが世界分断の一因』に納得感あり」として、筆者が考える2010年ごろ以降の世界分断発生と金(ゴールド)価格上昇の背景を確認しました。

今回は、「『価格低迷が積立を有利にする』ことを理解」として、積立シミュレーション(3パターンの価格推移)を確認します。

[Vol.1764] 『株高』に不安を感じる個人投資家の方々」で述べたイベント内の中規模会場での講演で、コモディティ関連の具体的な投資手法を述べました。集まった皆さんに「積立投資を前提として、以下のグラフの三つのパターンのうち、最終的な利益が最も大きくなったのは、どのパターンでしょうか?」と質問をしました。

挙手をしていただいたところ、暴騰パターン、暴落パターン、低迷パターン、いずれも3分の1前後の方の挙手が見られました。暴落パターンと低迷パターンに手を挙げた方は、積立投資の勘所を知っておられると感じました。特に低迷パターンに手を挙げた方の多さに、良い意味で筆者は驚きました。正解は低迷パターンでした。

積立投資は、毎月の投資金額が変わらなかった場合、価格が下がれば下がるほど、保有数量が増えやすくなりますが、もともと低迷していたほうが、保有数量を増やす上ではなお有利になります。これらの点を基に考えれば、今まさに急上昇している銘柄は、長期を前提とした積立投資に適さないと言えます。

図:積立シミュレーション(3パターンの価格推移) 単位:円/グラム
図:積立シミュレーション(3パターンの価格推移) 単位:円/グラム
出所:国内大手地金商のデータを基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。