[Vol.1776] 新興国の中央銀行が長期視点で買い継続

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。76.90ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,371.50ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。24年09月限は14,235元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年09月限は585.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1424.7ドル(前日比31.30ドル縮小)、円建てで7,052円(前日比261円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月25日 大引け時点 6番限)
11,703円/g
白金 4,651円/g
ゴム 313.7円/kg
とうもろこし 37,500円/t
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「新興国の中央銀行が長期視点で買い継続」
前回は、「過去の常識を捨てて上昇シナリオを描く」として、金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年 筆者イメージ)を確認しました。

今回は、「新興国の中央銀行が長期視点で買い継続」として、中央銀行による金(ゴールド)買い越し量の推移を確認します。

中長期視点で金(ゴールド)相場を追うためには、「2010年ごろ」に注目する必要があります。前回述べたとおり、株と金(ゴールド)の値動きが極端に離れ始めた、市場環境が大きく変化し始めたタイミングです。以下のグラフのとおり、2010年は、中央銀行による金(ゴールド)の買い越し量がプラスに転じたタイミングでした。

以前の「[Vol.1756] 米ドル離れ・金(ゴールド)寄り傾向に」で述べたとおり、中央銀行が金(ゴールド)を保有する主な理由は、「長期的な価値保全/インフレヘッジ」「危機時のパフォーマンス」「効果的なポートフォリオの分散化」「歴史的地位」などです。

新興国の中央銀行に限っていえば、「制裁への懸念」「政策ツール」「国際通貨システムの変化の予期」などが金(ゴールド)を保有する理由になる場合もあります。

2023年の中央銀行の金(ゴールド)の買い越し量は、金(ゴールド)の全需要のおよそ23%に達しました。中央銀行の存在は金(ゴールド)市場にとって、大変に大きいといえます。

長期視点の世界の潮流を動機に金(ゴールド)を保有する中央銀行が、2010年ごろ以降、最も留意していると考えられるテーマが「世界分断」です。

図:中央銀行による金(ゴールド)買い越し量の推移 単位:トン
図:中央銀行による金(ゴールド)買い越し量の推移 単位:トン
出所:WGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)の資料を基に筆者推計

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。