原油反落。米主要株価指数の反落などで。75.04ドル/バレル近辺で推移。
金反発。米10年債利回りの反落などで。2,432.60ドル/トロイオンス近辺で推移。
上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年01月限は15,810元/トン付近で推移。
上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年09月限は552.4元/バレル付近で推移。
金・プラチナの価格差、ドル建てで1503.45ドル(前日比0.75ドル拡大)、円建てで6,917円(前日比9円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。
国内市場は以下のとおり。(8月8日 17時11分時点 6番限)
金 11,261円/g
白金 4,344円/g
ゴム 322.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)
●NY金先物(期近) 日足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成
●本日のグラフ「中央銀行の購入動機は世界情勢の大きな潮流」
前回は、「金(ゴールド)相場の長期のテーマ」として、金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(中長期・超長期)を確認しました。
今回は、「中央銀行の購入動機は世界情勢の大きな潮流」として、2010年ごろ以降の世界情勢と各種コモディティ(国際商品)価格上昇の背景を確認します。
中央銀行はなぜ、金(ゴールド)を保有しているのでしょうか。全体的には「長期的な価値保全/インフレヘッジ」「危機時のパフォーマンス」「効果的なポートフォリオの分散化」「歴史的地位」などが、主な理由です。
また、いくつかの新興国の中央銀行においては「制裁への懸念」「政策ツール」「国際通貨システムの変化の予期」なども、金(ゴールド)を保有する動機になっています。
筆者は以下の図の通り、2010年ごろ以降、スマートフォン(SNSでのコミュニケーションを含む)とESG(環境・社会・企業統治の三つを基にした投資選別)の考え方が世界的に普及したことが一因となり、西側と非西側の間の分断が深まったと考えています。
2011年ごろに中東・北アフリカ地域の複数の国家で発生した武力衝突を伴った政権転覆「アラブの春」の発生と、2016年に英国で行われたEU(欧州連合)離脱を問う国民投票と米国で行われた大統領選挙で事前の予想を覆す結果が出たことの一因に、SNSの存在が挙げられています。
スマートフォン・SNSが存在しなければ、こうした民主的とは言い難い結果は出ていなかったのではないか、ということです。
また、ESGについては、環境、社会、企業統治に前向きなことをしている企業に投資をし、そうでない企業から資金を引き揚げるなど、投資先を選別する際の「正義と悪の線引き」ともいえる考え方です。
これにより、E(環境)に抵触する石油関連企業や産油国やS(社会)に抵触する専制的な体制を敷く国(ほとんどが非西側)を非難する声が大きくなりました。そしてその声が大きくなるにつれて、その対極にある西側の企業への投資が加速しました(米国株高の一因)。
非難された側の非西側と非難した側の西側の間に分断が生まれたことは、自然なことでした。その後も、西側がESG推進を止めなかったため、分断が深まりました。SNSとESGが世界に深刻な影響をもたらした一因であることは、つながりたいという本能を持っている人類にとって、そしてESGを正義と疑わない西側にとって、不都合な真実といえるでしょう。
中央銀行は、こうした世界分断のさなかにあって、先述の動機を基に2010年以降、全体として買い越しを続けています。世界分断も、それと相互作用の関係にある民主主義の行き詰まりも、世界分断と民主主義の行き詰まりが一因である戦争も、彼らにとって外貨準備高における金(ゴールド)の保有量を増やす強い動機になり得ます。
では、世界分断をなくすことはできるのでしょうか。筆者はできないと考えています。西側はすでにESG投資と称して莫大(ばくだい)な資金を動かしてしまっていますし、何より自分の正義を否定することなどできないでしょう。また、つながりたいという根源的な欲求を満たすSNSを人類から取り上げることは不可能でしょう。
このため、長期的に世界分断は解消できず、新興国を中心とした中央銀行の金(ゴールド)の買いが継続する可能性があります。このことは、長期視点で金(ゴールド)価格が高止まりすることを示唆しています。
図:2010年ごろ以降の世界情勢と各種コモディティ(国際商品)価格上昇の背景
出所:筆者作成
金反発。米10年債利回りの反落などで。2,432.60ドル/トロイオンス近辺で推移。
上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年01月限は15,810元/トン付近で推移。
上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年09月限は552.4元/バレル付近で推移。
金・プラチナの価格差、ドル建てで1503.45ドル(前日比0.75ドル拡大)、円建てで6,917円(前日比9円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。
国内市場は以下のとおり。(8月8日 17時11分時点 6番限)
金 11,261円/g
白金 4,344円/g
ゴム 322.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 6,300.0円/mmBtu(22年10月限 22年8月5日午前10時35分時点)
●NY金先物(期近) 日足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成
●本日のグラフ「中央銀行の購入動機は世界情勢の大きな潮流」
前回は、「金(ゴールド)相場の長期のテーマ」として、金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(中長期・超長期)を確認しました。
今回は、「中央銀行の購入動機は世界情勢の大きな潮流」として、2010年ごろ以降の世界情勢と各種コモディティ(国際商品)価格上昇の背景を確認します。
中央銀行はなぜ、金(ゴールド)を保有しているのでしょうか。全体的には「長期的な価値保全/インフレヘッジ」「危機時のパフォーマンス」「効果的なポートフォリオの分散化」「歴史的地位」などが、主な理由です。
また、いくつかの新興国の中央銀行においては「制裁への懸念」「政策ツール」「国際通貨システムの変化の予期」なども、金(ゴールド)を保有する動機になっています。
筆者は以下の図の通り、2010年ごろ以降、スマートフォン(SNSでのコミュニケーションを含む)とESG(環境・社会・企業統治の三つを基にした投資選別)の考え方が世界的に普及したことが一因となり、西側と非西側の間の分断が深まったと考えています。
2011年ごろに中東・北アフリカ地域の複数の国家で発生した武力衝突を伴った政権転覆「アラブの春」の発生と、2016年に英国で行われたEU(欧州連合)離脱を問う国民投票と米国で行われた大統領選挙で事前の予想を覆す結果が出たことの一因に、SNSの存在が挙げられています。
スマートフォン・SNSが存在しなければ、こうした民主的とは言い難い結果は出ていなかったのではないか、ということです。
また、ESGについては、環境、社会、企業統治に前向きなことをしている企業に投資をし、そうでない企業から資金を引き揚げるなど、投資先を選別する際の「正義と悪の線引き」ともいえる考え方です。
これにより、E(環境)に抵触する石油関連企業や産油国やS(社会)に抵触する専制的な体制を敷く国(ほとんどが非西側)を非難する声が大きくなりました。そしてその声が大きくなるにつれて、その対極にある西側の企業への投資が加速しました(米国株高の一因)。
非難された側の非西側と非難した側の西側の間に分断が生まれたことは、自然なことでした。その後も、西側がESG推進を止めなかったため、分断が深まりました。SNSとESGが世界に深刻な影響をもたらした一因であることは、つながりたいという本能を持っている人類にとって、そしてESGを正義と疑わない西側にとって、不都合な真実といえるでしょう。
中央銀行は、こうした世界分断のさなかにあって、先述の動機を基に2010年以降、全体として買い越しを続けています。世界分断も、それと相互作用の関係にある民主主義の行き詰まりも、世界分断と民主主義の行き詰まりが一因である戦争も、彼らにとって外貨準備高における金(ゴールド)の保有量を増やす強い動機になり得ます。
では、世界分断をなくすことはできるのでしょうか。筆者はできないと考えています。西側はすでにESG投資と称して莫大(ばくだい)な資金を動かしてしまっていますし、何より自分の正義を否定することなどできないでしょう。また、つながりたいという根源的な欲求を満たすSNSを人類から取り上げることは不可能でしょう。
このため、長期的に世界分断は解消できず、新興国を中心とした中央銀行の金(ゴールド)の買いが継続する可能性があります。このことは、長期視点で金(ゴールド)価格が高止まりすることを示唆しています。
図:2010年ごろ以降の世界情勢と各種コモディティ(国際商品)価格上昇の背景
出所:筆者作成