[Vol.1803] FRBの利下げがもたらす影響を確認してみる

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。73.19ドル/バレル近辺で推移。

金反発。米10年債利回りの反落などで。2,535.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年01月限は16,285元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。24年10月限は550.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1610.6ドル(前日比15.20ドル拡大)、円建てで7,461円(前日比12円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月3日 17時54分時点 6番限)
11,792円/g
白金 4,331円/g
ゴム 359.9円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,109.0円/mmBtu(24年12月限 24年9月02日16時50分時点)

●NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「FRBの利下げがもたらす影響を確認してみる」
前回は、「『局面』と『時代』に分けて分析する必要性」として、金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年9月時点)を確認しました。

今回は、「FRBの利下げがもたらす影響を確認してみる」として、金(ゴールド)の「局面」に関わる短中期のテーマの動向を確認します。

金(ゴールド)相場の目先の「局面」について、考えます。FRB(米連邦準備制度理事会)が、いよいよ利下げに踏み切ろうとしています。この利下げは、「代替通貨(ドルとの逆相関)」起因の上昇圧力をもたらし得る材料です。

以下の図の右側の「利下げ局面」に書いたとおり、利下げ(ドル安)は、ドル建て金(ゴールド)相場に代替通貨起因の上昇圧力をかけます(A)。

同時に利下げは、個人や企業の資金調達を促し、景気回復・株価上昇の要因になり得ます。この点は、金(ゴールド)相場に代替資産起因の下落圧力をかけます(C)。そして、同時進行しているウクライナ戦争の悪化、中東情勢のさらなる混迷をきっかけとした有事ムードの高まりが上昇圧力を継続させます(B)。

AとBの上昇圧力が、Cの下落圧力をかき消し、金(ゴールド)は上昇する可能性があります。この時、円建て金(ゴールド)は、円高によって上値を抑えられやすくなりますが、急激な円高が発生しなければ、ドル建てに追随して上昇する可能性があると考えられます(上昇率はドル建てに及ばない)。

つまり、目先は米国の利下げがきっかけで「株高・金(ゴールド)高」が目立つ可能性があります。株式や通貨、債券、コモディティ(国際商品)など、幅広い市場において、最も大きな関心事が「金融政策(特にFRBによる政策)」である場合は、順相関が発生します。

実際、リーマンショックやコロナショックの直後に行われた金融緩和の際、「株高・金(ゴールド)高」が発生しました。

過去の常識は「局面」の中で生きているものの、状況によっては常識のとおりにならないケースがあることに留意が必要です。

図:金(ゴールド)の「局面」に関わる短中期のテーマの動向
図:金(ゴールド)の「局面」に関わる短中期のテーマの動向
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。