[Vol.1802] 「局面」と「時代」に分けて分析する必要性

著者:吉田 哲
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原油反落。米主要株価指数の反落などで。73.53ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,531.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年01月限は16,360元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。24年10月限は540.6元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1601.95ドル(前日比6.55ドル拡大)、円建てで7,457円(前日比30円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(9月2日 18時38分時点 6番限)
11,827円/g
白金 4,370円/g
ゴム 367.0円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,109.0円/mmBtu(24年12月限 24年9月02日16時50分時点)

●NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「『局面』と『時代』」に分けて分析する必要性
前回は、「プラチナは長期視点で人気銘柄になるだろう」として、プラチナの主要鉱山生産国の自由民主主義指数を確認しました。

今回は、「『局面』と『時代』」に分けて分析する必要性として、金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年9月時点)を確認します。

長期視点で、株と金(ゴールド)価格は上昇しています。特に2010年ごろから、両者は騰勢を強めています。

「株と金(ゴールド)は逆相関なのではないか」「両方上昇しているなんて、何かの間違いではないか」とご指摘があるかもしれません。しかし、どちらも上昇しています。

株と金(ゴールド)の逆相関のほか、ドルと金(ゴールド)の逆相関、さらには「有事の金(ゴールド)買い」など、かつてもてはやされた金(ゴールド)関連の常識は、どこにいったのでしょうか。なくなってしまったのでしょうか。

金(ゴールド)関連のテーマを「局面」と「時代」にわけると、過去の常識は生きていることがわかります。つまり、過去の常識は「局面」という局所的な場面で有効になる傾向がある、ということです。このため、先ほどの長期視点のグラフでかつての常識を確認しにくかったのです。

以下は「局面」と「時代」にテーマを分けた図です。筆者がこれまで提唱してきた7つ(円建て金(ゴールド)の場合は、ドル円を追加)です。有事ムード(戦争などの勃発時の資金の逃避先需要)、代替資産(株との逆相関)、代替資産(ドルとの逆相関)という過去の常識はいずれも「局面」に分類されます。

そして、中長期のテーマである、中国・インド等の宝飾需要、中央銀行、鉱山会社、超長期のテーマである見えないジレンマは、「時代」という長い時間軸に分類されます。

「局面」「時代」という表現は、先日、著名なエコノミストがドル円相場の解説の際に述べておられたものです。それを見て、筆者はこれまで述べてきた7つのテーマにぴったりあてはまると感じ、本レポートで用いた次第です。

この考え方は、ドル円や金(ゴールド)だけでなく、あらゆる相場分析に有効であると考えます。「局面」「時代」のほか、「具体」「抽象」なども有効な分析の仕方であると考えます。

図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年9月時点)
図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2024年9月時点)
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。