内外共に史上最高値更新中(金相場)

著者:菊川 弘之
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 また、6月3日付け当欄「金相場、6月安アノマリーは、買い仕込みの好機」で、

 『米国の覇権・ドル基軸通貨の揺らぎと言う大きなテーマが強材料視される中、季節的な安値が出やすい6月は、中長期的な買いを仕込む良い時間帯かもしれない。

 94年以降のデーターでは、「6月末に買い、12月末に売る」累積パフォーマンスの優位性が確認できる。』

 と指摘したが、上値目標とした2600ドルを9月に達成。小さな調整を入れた後、2600ドルが下値支持に変化し、2700ドルを超えて、史上最高値を更新中だ。

 2024年はコラム執筆回数が少なくなったが、金相場に関しては内外共に上場来高値を更新中で「値頃感は持たずに、押せば底打ち確認後に買い」のスタンスが有効となっている。1月・6月に書いたコラムで書いたように、目先の小さな材料に囚われては歴史的な大波は取れない。

 NY金(12月限)は、9月FOMCを受けて、中心限月として過去最高値を更新したが、0.5%の織り込みが進んでいたことや、今後の利下げペースが緩やかになるとの見方などから、買い一巡後は利益確定の売りに押された。既に7月以降のレンジ(2400ドル~2500ドル)上限を下値支持として、レンジの倍返しからの上値目標2600ドルを達成しており、「知ったら終い」的な反応であったものの、過去の米利下げ局面下における金相場の値動きを振り返ると、利上げ停止で底固めを行い、利下げ開始と歩調を合わせ上げ足を強めている。今回の米利下げへの転換は、金相場本格上昇の「始まりの始まり」となるだろう。

 NY金の上値目標は、心理的節目以外には一目均衡表からは、E=2742.6ドル、E=2725.6ドル、直近の波動からは、V=2798.6ドル、N=2824.8ドル、E=2914.7ドルなどが計算できる。

利下げ局面でのNY金
 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

NSトレーディング株式会社 代表取締役社長 / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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