[Vol.1858] SNSは選挙戦の「ゲームチェンジャー」

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。ドル指数の反発などで。70.57ドル/バレル近辺で推移。

金反落。米主要株価指数の反発などで。2,696.90ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年01月限は17,460元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年01月限は539.1元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1742.75ドル(前日比19.35ドル縮小)、円建てで8,605円(前日比55円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月25日 17時06分時点 6番限)
13,339円/g
白金 4,734円/g
ゴム 357.5円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,252円/mmBtu(25年3月限 11月19日17時18分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「SNSは選挙戦の『ゲームチェンジャー』」
前回は、「世界分裂が食品小売価格を押し上げている」として、2010年ごろ以降の世界分断発生とコモディティ(国際商品)価格上昇の背景を確認しました。

今回は、「SNSは選挙戦の『ゲームチェンジャー』」として、ニュースを日常的に閲覧しているメディア(携帯電話所有者が複数回答)を確認します。

7月の東京都都知事選挙、10月の衆議院議員選挙、11月の兵庫県知事選挙といった国内の主要な選挙に、SNS(ソーシャル ネットワーキング サービス)が大きな影響を及ぼしたことは、広く報じられているとおりです。

こうした報道を通じてわれわれ市民は、対抗馬が最有力候補に肉薄したり勝利したりするシーンを幾度となく目の当たりにしました。特に兵庫県知事選挙ではSNSが勝敗を分けたとさえ、言われています。

また、11月の米大統領選挙は、一部「人気どり」の様相を呈した異色の選挙でした。あの選挙の際、SNSのフォロワーが数千万から数億人を超える著名人がどちらの候補者を応援しているのかが、大きな話題となりました。政策よりも、著名なインフルエンサー(SNS上で大きな影響力を持つ情報発信者)が味方に付いているかが、選挙戦を戦う上で大きなポイントとなりました。

国内外、情報の発信者・受け手を問わず、好き嫌い、直感的なわかりやすさなど、感覚が優先されやすいSNSは選挙戦でも大いに活用されています。今年行われた一連の選挙では、候補者たちがSNS上で、多くの人に受け入れられること(感情にうったえる内容を含む)や、短くてわかりやすいフレーズを繰り返し口にする場面が見られました。

こうしたことに一部、仮想敵とのののしり合いや、過剰なまでの安心感の醸成が加わり、SNSが劇場と化した様子を、われわれは何度も目にしました。劇場化がきっかけで、事前の予想と異なる結果が出たケースもありました。

選挙は、民主主義の根幹を維持するために必要な仕組みです。この選挙の結果に甚大な変化をもたらすSNSとはいったいどのようなツールなのでしょうか。日本だけでなく世界の主要国でしばしば、議員や自治体のリーダーを決定する選挙の決定打になっていることを考えれば、もはや、個人と個人をつなぐ単なる通信手段でなくなっていることは明白です。

SNSはすでに、社会に流通する情報と群衆の心理に甚大な影響を与え、民主主義の根幹にかかわる選挙の環境を激変させるゲームチェンジャーとなりつつあると言えるでしょう。

人類は実はとてつもないツールを開発し、日常的にそれを使用していると言えます。(筆者はSNSを、技術革新の延長線上で生まれたインフラ(社会基盤)だと認識しており、その存在を肯定も否定もしていません)

以下は、そのSNSと既存メディアの利用状況を示した資料です。日本における携帯電話所有者が、ニュース閲覧時にどのメディアを利用しているのかが示されています。

足元、1位がテレビ、2位がWebサイト・アプリ、3位がSNS、4位が新聞です。テレビがニュース閲覧時に最も利用されているメディアです。また近年、SNSの割合が急速に上昇してきています。選挙関連の報道で示されたとおり、SNSが持つ特徴が幅広い世代で受け入れられていることが、一因だと考えられます。

図:ニュースを日常的に閲覧しているメディア(携帯電話所有者が複数回答)
図:ニュースを日常的に閲覧しているメディア(携帯電話所有者が複数回答)
出所:2010年-2024年一般向けモバイル動向調査を基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。