[Vol.1863] 掘って、掘って、掘りまくれ!

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。68.66ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,650.71ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年05月限は18,210元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。25年01月限は530.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1707.96ドル(前日比18.94ドル縮小)、円建てで8,218円(前日比23円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(12月2日 17時18分時点 6番限)
12,765円/g
白金 4,547円/g
ゴム -円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,252円/mmBtu(25年3月限 11月19日17時18分時点)

●NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
NY原油先物(期近) 日足  単位:ドル/バレル
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「掘って、掘って、掘りまくれ!」
前回は、「SNSは民主主義を停滞させる重要要素」として、2010年ごろ以降の世界分断発生とコモディティ(国際商品)価格上昇の背景を確認しました。

今回は、「掘って、掘って、掘りまくれ!」として、米国の原油生産量の推移を確認します。

「Drill Baby Drill(掘って、掘って、掘りまくれ!)」は、2024年の米大統領選の選挙戦において、トランプ氏が何度も口にした言葉です。こうしたことを受け、2025年1月から始まるトランプ政権下では、米国の原油生産量が大きく増え、それによって原油相場がショック級の暴落に見舞われる、という思惑が浮上しています。

下のグラフは、米国の原油生産量の推移を示しています。このグラフが大きく上昇することが、米国の原油生産量が大きく増えることを意味します。足元、米国全体のおよそ68%が、シェール主要地区由来です。おおむね、シェールが増えれば米国全体が増える、シェールが減れば米国全体が減る、という構図です。

ここから数回に分けて、米国のシェール主要地区に関わる複数のデータを確認しながら、そもそも「掘って、掘って、掘りまくれ!」は可能なのか、もし可能であれば、原油相場にどれほどのインパクトをもたらすのか、について考察します。

昨今の各種市場(原油だけではなく、金(ゴールド)も株式や通貨、金利など他の市場も)と向き合う際は、イメージを優先しすぎない、できるだけ広範囲の材料を認識する、時間軸ごとに複数の材料を分ける、などが求められています。

その意味で、「掘って、掘って、掘りまくれ!」とトランプ氏が連呼したから原油相場が暴落する、というシナリオはいささか乱暴だと感じます。冷静な分析が求められます。

図:米国の原油生産量の推移 単位:百万バレル/日量
図:米国の原油生産量の推移 単位:百万バレル/日量
出所:EIA(米エネルギー省)のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。