週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比4.61ドル安の74.48ドル、ブレント原油は3.38ドル安の78.16ドルとなった。

 前週末の海外原油は、ガザ地区の停戦が重しとなったほか、トランプ次期大統領の就任を控える中で戻り売りが先行し軟調な展開で取引を終えた。

 先週は、第2次トランプ政権が発足し、化石燃料の増産方針が嫌気されたほか、カナダやメキシコなどへの関税政策に対する警戒感が広がったことから終始軟調な動きとなった。

 20日にトランプ大統領が就任演説で、国家エネルギー非常事態を宣言し、原油など化石燃料の増産を後押しする意向を示したことや、ピースメーカー(平和の構築者)になりたいと発言したことで中東やウクライナの地政学リスクが低下したことは、その後の原油市場にとって重しとなった。21日、東京時間にカナダとメキシコに最大25%の追加関税を課すと伝わり価格上昇に繋がるとの思惑で一時反発するも、インフレ加速の見方からドル高が進行したことで相殺。EIAがレポートで2025年、26年の原油価格は低下を見込んでいると示したことから続落となった。トランプ大統領による関税政策に警戒感が広がる中、23日はスイスで開催中のダボス会議において、トランプ大統領がサウジやOPECに対して原油価格の引き下げを求めたことが売り手掛かりとなった。
NY原油チャートみんかぶ
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場は戻り売りの展開が予想される。トランプ大統領による産油国への値下げ要求や、米原油の増産方針が、引続き上値圧迫要因となりそう。一方で、原油価格が下落した場合はFRBに対して利下げを要求する考えを示していることは、サポート要因となり、下値は限定的になると思われる。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

岡地株式会社
国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。