[Vol.1903] 金(ゴールド)相場、歴史的高値更新

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。73.86ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。2,830.56ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。25年05月限は17,450元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年03月限は602.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1816.16ドル(前日比24.86ドル拡大)、円建てで9,298円(前日比70円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月3日 18時00分時点 6番限)
14,030円/g
白金 4,732円/g
ゴム 390.7円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,960円/mmBtu(25年4月限 12月19日17時25分時点)

●NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物(期近) 日足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「金(ゴールド)相場、歴史的高値更新」
前回は、「トランプ2.0下で予想される日本での事象」として、日本の原油および天然ガス輸入単価とWTI原油価格を確認しました。

今回は、「金(ゴールド)相場、歴史的高値更新」として、金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2025年2月時点)を確認します。

国内外の金(ゴールド)相場が、歴史的高値圏で推移しています。足元、およそ3か月ぶりに高値を更新したことについて、トランプ氏が関税引き上げを実施して、世界中に不安を振りまいているためだ、という趣旨の解説を目にします。

この50年間、金(ゴールド)相場を振り返ると、1970年代後半は「有事の金買い」だけで、1980年代から90年代は「株と金の逆相関」だけで、ほとんど、値動きを説明することができました。

では、2010年ごろ以降の、現在に至る長期視点の急騰劇は、どのように説明することができるのでしょうか。有事だけ、株との逆相関だけで説明できる規模の急騰劇ではないことが容易に想像できます。たった一つのテーマで、このような数十年単位の長期の、そして10倍前後に達する急騰劇は起き得ないでしょう。

筆者が提唱する七つのテーマにあてはめると、以下のようになります。有事ムード(短中期:不安拡大時の資金の逃避先需要増)と代替通貨(同:ドルの代わり)は、どちらかと言えば上昇、代替資産(同:株の代わり)は上昇と下落両方、中央銀行(中長期)と見えないジレンマ(超長期)は上昇、となります。

三つの時間軸に複数のテーマがあり、各テーマの中に複数の具体的な材料があります。それらの材料は、「同時に」金(ゴールド)相場に上下の圧力をかけています。こう考えることで無理なく、数十年単位で続いている急騰劇の背景を説明できます。トランプ氏の存在が金(ゴールド)相場にとって、いかについ最近の材料であるかも、わかります。

高値更新という短期的な上昇劇にトランプ氏は深く関わっているものの、長期視点では同氏以外の材料も、考慮する必要があります。とりもなおさず、関税引き上げだけに気を取られてはいけません。(DeepSeekの件も、同様です。目立つ材料を起点に分析をはじめてはいけません)

図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2025年2月時点)
図:金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2025年2月時点)
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。