石破長期政権となる可能性も浮上

著者:菊川 弘之
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 日米首脳会談での直接対談を不安視する声や、会談後も石破首相の所作が云々と揶揄する報道も一部あったが、結論としては日米首脳会談は大成功だった。初めての対面での会談で時間が限られた中、首脳間同士の信頼関係を築くと言う意味では、「ウマがあった」と言えるだろう。

 石破首相は、トランプ氏銃撃事件時の写真を示し、「大統領になられる前でしたが、狙撃をされたとき、ひるむことなく立ち上がられ、こぶしを手に突き上げて。その時の写真が非常に印象的でありました。その背後には星条旗がはためき、そして青い空が映っていた。あの写真はおそらく歴史に残る一枚だったと思います。あの写真を見て、私はおそらく大統領閣下が、自分はこうして、「神様から選ばれたんだ」「必ず大統領に当選し、再びアメリカを偉大な国に」、「そして世界を平和に」、そのように確信されたに違いないと思いました。」と述べたが、この「神様から選ばれた」「強い使命感」と言うワードこそ、両人がカルヴァンの影響を強く受けたプロテスタントのキリスト教徒であるが故のポイントとなった。

 外務省からの事前レクチャーでは首脳会談時に宗教的な話は避けるようにと助言があったようだが、会談の冒頭で熱心なプロテスタントである石破茂首相が「大統領が、自分はこうして神様から選ばれたと確信したに違いないと思った」と述べたことが、トランプ大統領との信頼関係を構築する上で重要なポイントだった。キリスト教で、神の選びを強調するのは、長老派、改革派などカルヴァンの系譜を引く人々の特徴だ。信仰が政治活動の原動力になっている場合が多いが、トランプ大統領も石破首相もプロテスタントとして同じ感覚を持ち合わせているからこそ、ウマが合ったのだろう。


 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

日産証券インベストメント株式会社 チーフ・ストラテジスト / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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