石破長期政権となる可能性も浮上

著者:菊川 弘之
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 アラスカ州選出の共和党のサリバン議員はアラスカ州のLNG=液化天然ガスをアジアに輸出できれば100億ドル、日本円にして1兆5000億円余りの米貿易赤字を削減できると試算している。アラスカ州はアメリカ本土から離れている一方、日本などアジア諸国と近く、LNGの輸出拠点として適している。中東産や、メキシコ湾岸などと異なり、ホルムズ海峡やパナマ運河を通る必要がないため運搬コストや地政学上のリスクを抑えることが可能になる。アラスカ州のエネルギー開発などを進める大統領令は、就任初日に署名した大統領令の1つで、LNGの販売先として「アジア太平洋の同盟国」と明記されている。米貿易赤字を削減する手段になるうえ、LNGのプロジェクトには、日本製鉄の技術が役立つ。USスチール問題の解決と合わせて日米ともにウィンウィンとなる可能性も期待される。

 課題としては、インフラ建設には時間が掛かり、コストも高額になりそうなことで、価格に転嫁されLNG価格がロシア産などと比べると高くなる可能性が指摘されている。ただ、エネルギー分散や、総合的な損得と言う観点からは、日本にとって悪い内容ではない。共同声明では、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることが改めて確認された。これだけでも、今回の日米首脳会談は成功だったと言えよう。

 

このコラムの著者

菊川 弘之(キクカワ ヒロユキ)

日産証券インベストメント株式会社 チーフ・ストラテジスト / 国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)。
GelberGroup社、FutureTruth社などでのトレーニーを経験後、商品投資顧問会社でのディーリング部長等経て現職。
日経CNBC、BloombergTV、ストックボイス、ラジオ日経など多数のメディアに出演の他、日経新聞、時事通信などに連載、寄稿中。
また、中国、台湾、シンガポールなどで、現地取引所主催・共催セミナーの招待講師も務める。

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