[Vol.1916] 相場予想を大きく上回る可能性あり

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。米主要株価指数の反落などで。72.11ドル/バレル近辺で推移。

金反落。ドル指数の反発などで。2,943.46ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年05月限は17,845元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年04月限は562.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1956.01ドル(前日比2.89ドル縮小)、円建てで9,597円(前日比22円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(2月21日 18時41分時点 6番限)
14,232円/g
白金 4,635円/g
ゴム 372.9円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 2,182円/mmBtu(25年5月限 2月21日17時42分時点)

●NY金先物 月足  単位:ドル/トロイオンス
NY金先物 月足  単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「相場予想を大きく上回る可能性あり」
前回は、「第三の矢:『見えないジレンマ』浸透中」として、2010年ごろ以降の世界分断発生とコモディティ(国際商品)価格上昇の背景を確認しました。

今回は、「相場予想を大きく上回る可能性あり」として、海外金(ゴールド)現物価格と国内地金大手小売価格の推移(2015年1月5日を100として指数化)を確認します。

「三本の矢」とは、複数の人間が力を合わせることで、大きな力が生じることのたとえで、経済政策を推進する際の説明にも使われた言葉です。

ここまでの数回で述べてきたとおり、第一の矢(短中期の上昇圧力、有事+株・ドルとの逆相関)、第二の矢(中長期の上昇圧力、中央銀行の買い越し長期化)、第三の矢(超長期の上昇圧力、見えないジレンマ浸透中)はいずれも、今後も金(ゴールド)相場を支え続ける可能性があります。

最近のトピックは、(1)米国と欧州の関係が悪化する懸念が生じている(SNS規制などで)、(2)ウクライナという当事国が不在の状態で同国を取り巻く情勢が議論され始めている(米国とロシアが議論を進めている)、(3)中央銀行全体の2024年の金(ゴールド)の買い越し量が史上三番目の高水準だったことが明らかになった、などです。

(1)(2)は第一の矢をさらに強める要因、(3)は第二の矢が引き続き強い状態であることを裏付ける要因だといえます。

昨年末に筆者が明示した、2025年の予想のメインシナリオは、海外が3,000ドル、国内小売りが1万6,000円でした。今後、国内外の金(ゴールド)相場が、これらの予想を大きく上回っても、なんらおかしくはありません。

図:海外金(ゴールド)現物価格と国内地金大手小売価格の推移(2015年1月5日を100として指数化)
図:海外金(ゴールド)現物価格と国内地金大手小売価格の推移(2015年1月5日を100として指数化)
出所:LBMAおよび国内地金大手のデータをもとに筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。