週刊石油展望

著者:児玉 圭太
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 先週末のWTI原油は前週比0.69ドル高の72.30ドル、ブレント原油は0.89ドル高の76.29ドルとなった。

 前週末の海外原油は米政権が相互関税の即時発動を見送ったことは支えとなった一方、プレジデントデーの祝日を控える中で玉整理の売りが進んだほか、ロシアとウクライナの停戦期待が重しとなり小幅に続落する格好となった。

 先週はウクライナ停戦に向けて米露高官が協議を開始したことから地政学リスクが後退していることは引き続き重しとなった一方、ウクライナによるロシアの石油パイプラインへの攻撃で供給懸念が高まったことが支えとなり週間では上昇する動きとなった。週明けは米国市場がプレジデントデーの祝日となる中、ウクライナがロシアとカザフスタンの石油パイプラインをドローン攻撃したと伝わったことが支えとなり堅調な推移となった。翌18日にかけても堅調な推移を引き継ぐと、パイプラインの被害の復旧には最大で2か月を要し、日量40万bbl近くの供給が減少すると伝わったことが支援材料となった。一方、サウジアラビアで米国とロシアがウクライナ停戦に向けた協議を行い、しえ歳の解除などについても議論されたと伝わったことは重しとなった。翌19日にかけても引き続きパイプラインへの攻撃による供給懸念が支えとなったほか、ノースダコタ州での寒波の影響でガスや石油の油井が凍結しており、原油生産量が日量15万bbl程度減少する可能性があると伝わったことが好感された。週末にかけてはEIA統計において原油在庫は増加していた一方、ガソリンや留出油といった製品在庫は減少していたことが好感され堅調な推移となった。

みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート
出所:みんかぶ先物WTI原油先物複合チャート

 今週の原油相場は強弱材料が交錯する中で方向感を探る展開が想定されそうか。米経済指標の軟調さ からドル安進行しているほか、ロシアの石油パイプラインへの攻撃で供給懸念が高まっていることは支えとなっている一方、トランプ関税が警戒されていることやロシアとウクライナの停戦期待は重しとなっている。ただし、ゼレンスキー大統領が、米露がウクライナ抜きで停戦交渉を行ったことに不服を示しているほか、トランプ大統領がゼレンスキー大統領を批判するなど首脳間の関係悪化が懸念されていることから停戦交渉の行方には注視したいところか。需要面では米国の気温が来週には上昇するとの予報から暖房需要の減少する見通しとなっているほか、季節的に需給が緩む時期に入る中で原油在庫の積み上がりが警戒されることは重しとなりそうだ。

 

 

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このコラムの著者

児玉 圭太(コダマ ケイタ )

国際法人部主任として国内商社や地場SS等を担当。
需給動向や石油現物価格などをもとに相場分析を行います。静岡出身。