香港について その2

著者:近藤 雅世
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 香港は、以前は非常に治安の悪い街だったと言われる。その昔、多くの中国の大金持ちが、金を肌身に就けて海を泳いで香港に流れ着いたと言われていた。そして、中国に置いてきた子供を助けるために、日本人等駐在員の子供が誘拐され、中国本土香港人が連れて行って自分の子供と交換してくると言う話や、街中を日本の主婦が連れ立ってあるいていると、一番後ろの人がいなくなって、中国に街娼として、売られたという話がまことしやかに語られていた。むろんそんな事実はないだろうが、近代化される前の香港は、商店は黒社会と呼ばれる暴力団がはびこり、また警察は賄賂のかたまりだったという。そこにある時ピューリタンの英国人が警察署長として赴任してきて、賄賂を採る警察官を片端から解雇し、綱紀を粛正したという。

 そして私が駐在した1980年代、90年代はとても住みやすい、良い街だった。香港島には超大金持ちが住み、私のマンションは家賃が月額100万円だったが、50メータープールがあり、3面のテニスコートを完備し、24棟の高層マンションは鉄条網に囲まれた公園の中にあった。幼稚園は日英中の子弟が仲良く席を並べ、香港島の中央にある日本人小学校には2000人の日本人生徒がいて海外では最も大きく、貸し切りバス数十台で九龍半島からも通ってきた。

 私は次男の小学校6年間リトルリーグの監督であり、毎週日本人6チーム、英米国人6チーム、中国人6チームでハイスクールに貸し切りバスで遠征して試合をしたものだ。

 料理は中華料理も潮州料理がメインであるが、広東、福建、北京、上海、四川、湖南、客家料理等それぞれにとてもおいしく、客が長打を為す店はおいしいが、コックが変わり、味が落ちるとすぐにガラガラになるのがすごいと思った。香港では一番多い潮州料理は、ゆでエビ(生きたものを老酒で蒸したものもある)に始まり、ガルーパ(日本名クエ)の煮物や、アワビの醤油煮は絶品で、海鮮系の食事である。また北京料理は北京ダック、四川料理は辛い麻婆豆腐等、湖南料理にはハムと蜂蜜とパンの料理や竹のスープが有名だ。何料理家知らないが、鳩のローストもおいしい。冬には蛇のスープも材料名を言わなければ客は温まっておいしいと言ってくれる。短冊に切ってあるので、蛇とはわからない。広東に行けば犬も常食である。変わったところでは福建省の三明市の市長と共に熊の手を食べた。ゼラチン質の手のひらを細く切って食べた。市長も生まれて初めて食べたという。桂林の山奥ではハリネズミや穿山甲(アルマジロ)を食べた。料理する前に生きている姿を見せてくれる。これでいいかと言われるがかわいそうだった。蛇と同様、スープ状の具になっていて原型は全く分からない。うまいと言うほどではなかったと記憶する。(以下次号)

 

このコラムの著者

近藤 雅世(コンドウ マサヨ)

1972年早稲田大学政経学部卒。三菱商事入社。
アルミ9年、航空機材6年、香港駐在6年、鉛錫亜鉛・貴金属。プラチナでは世界のトップディーラー。商品ファンドを日本で初めて作った一人。
2005年末株式会社フィスコ コモディティーを立ち上げ代表取締役に就任。2010年6月株式会社コモディティー インテリジェンスを設立。代表取締役社長就任。
毎週月曜日週刊ゴールド、火曜日週刊経済指標、水曜日週刊穀物、木曜日週刊原油、金曜日週刊テクニカル分析と週間展望、月二回のコメを執筆。
毎週月曜日夜8時YouTubeの「Gold TV Net」で金と原油について動画で解説中(月一回は小針秀夫氏)。
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