[Vol.2018] なぜインフレ急伸で金(ゴールド)が下がったのか

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反落。トランプ関税の懸念などで。65.11ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。3,444.81ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。25年09月限は15,005元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年09月限は503.7元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで1962.36ドル(前日比0.66ドル拡大)、円建てで10,031円(前日比5円縮小)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(7月23日 18時14分時点 6番限)
16,311円/g
白金 6,280円/g
ゴム 329.1円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物 月足  単位:ドル/トロイオンス

出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「なぜインフレ急伸で金(ゴールド)が下がったのか」
前回は、「インフレ対策としての金(ゴールド)とその実態」として、米CPI(前年同月比)と金(ゴールド)現物価格の相関係数を、確認しました。

今回は、「なぜインフレ急伸で金(ゴールド)が下がったのか」として、米CPI(前年同月比)と金(ゴールド)現物価格の推移を、確認します。

近年で最もインフレが急伸したタイミングの、米CPIと金(ゴールド)現物価格の推移を確認します。

以下の図の通り、米CPIは、+1.4%(2021年1月)から+9.0%(2022年6月)まで、急伸しました。急激にインフレが進んだタイミングです。

この時の金(ゴールド)現物価格は1866.98ドルから1836.57ドルに「下落」しました。金(ゴールド)は、インフレが急伸する中、下落したのです。

金(ゴールド)はインフレ対策、という思惑と異なる事象が発生した背景を説明する上で、特殊な考え方は一切必要ありません。

筆者が提唱する七つのテーマの短中期に分類する「有事ムード」「代替資産(株の代わり)」「代替通貨(ドルの代わり)」がもたらす上昇あるいは下落の圧力(同時発生もあり得る)を相殺するだけです。次回以降、詳細を述べます。

図:米CPI(前年同月比)と金(ゴールド)現物価格の推移

出所:世界銀行およびセントルイス連銀のデータを基に筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。