１０月の調整局面は、年末年始高へ向けての買い場

　トランプ米政権は９月２９日、連邦政府機関が閉鎖された場合の対応について、詳細の公表を始めている。厚生省は職員の４１％を一時帰休とする。トランプ政権は、政府機関閉鎖を機に連邦職員の大量解雇を示唆しており、過去の政府機関閉鎖とは様相が異なるものになる可能性も浮上している。表面的なチキンレースではなく、年初に見られたイーロン・マスク氏主導による電撃的な米国際開発局（ＵＳＡＩＤ）閉鎖のような目的を秘めているかもしれない。保健・ワクチン・公衆衛生分野には、「統合・効率化」「選別的予算削減」「機能の一本化（あるいは廃止）」といった圧力が現在進行していることは確かだろう。

　人事管理局は２９日、政府機関の閉鎖中は、新規職員の研修や採用は法律上認められないが、解雇を監督する職員の業務は継続されると表明。過去の政府機関閉鎖とは異なり、一時帰休中の職員も、政府支給のコンピューターを使用して、電子メールで解雇通知を確認することが認められるとしている。

　ＦＲＢ人事問題も「通貨発行権（Money Issuance Power）」を巡る戦いと捉えた方が良い。トランプ政権下では、暗号資産に関する大統領令・法律・法案が相次いで成立している。２０２５年３月の大統領令１４２３３は、「戦略的ビットコイン備蓄」と呼ばれ、アメリカ政府が持っているビットコインを売却せずに保管しておくことが決定した。この決定により、ビットコインを金（ゴールド）と同様な資産として認識されることになった。更に、２０２５年７月に成立した「ＧＥＮＩＵＳ法」は、ドルと連動するステーブルコインを、銀行と同じレベルの厳しい規制の下で発行できるようにした法律だ。これにより、従来の銀行送金よりも速く、安く決済できる仕組みが整ってきた。８月には、「すべての米国人に公正な銀行業務を保証する」大統領令と、「会社員の退職金制度（401(k)）で暗号資産などへの投資を可能にする」大統領令も出された。