[Vol.2089] 感覚に頼らない「七つのテーマ」を再確認

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油反発。米主要株価指数の反発などで。60.35ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドル指数の反落などで。4,021.75ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。26年01月限は15,045元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。25年12月限は460.4元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで2447.1ドル(前日比16.80ドル拡大)、円建てで12,887円(前日比73円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

国内市場は以下のとおり。(11月6日 18時20分時点 6番限)
20,155円/g
白金 7,268円/g
ゴム 312.4円/kg
とうもろこし (まだ出来ず)
LNG 1,799円/mmBtu(25年8月限 5月27日15時39分時点)

●NY金先物 月足 単位:ドル/トロイオンス
NY金先物 月足 単位:ドル/トロイオンス
出所:MarketSpeedⅡより筆者作成

●本日のグラフ「感覚に頼らない『七つのテーマ』を再確認」
前回は、「ほぼ常に上昇していた金(ゴールド)相場」として、国内地金大手の金(ゴールド)小売価格(税込)前年比(年間平均)を、確認しました。

今回は、「感覚に頼らない『七つのテーマ』を再確認」として、ドル建て金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2025年)を、確認します。

2000年代前半以降、とりわけ2010年以降は、金(ゴールド)相場を分析するために、体系化された分析が必要になりました。前回述べた通り、感覚に頼った分析が通じにくくなったためです。そこで役立つ分析手法が、筆者が提唱する「七つのテーマ」です。

時間軸が短中期である(1)有事(伝統的)、(2)代替資産、(3)代替通貨の三つは、伝統的なテーマで、金融機関や一部の投資家の間で語り継がれている天動説のような存在です。これらの三つのテーマはそれぞれ、金(ゴールド)相場に対し、短中期的な上下の圧力を提供しています。

前回述べた「有事の金(ゴールド)買い」は(1)に、「株と金(ゴールド)は逆相関」は(2)に、「インフレの時は金(ゴールド)」は(3)に、当てはまります。つまり、かつて生まれた特徴は今、短中期の値動きのテーマとなって生きているのです。

時間軸が中長期である(4)宝飾需要、(5)鉱山会社、(6)中央銀行、時間軸が超長期の(7)有事(非伝統的)は、長期視点で金(ゴールド)相場に影響を及ぼすテーマです。特に(6)と(7)は、2010年ごろ以降の長期視点の金(ゴールド)相場の上昇トレンドを支える「土台」となっている、大変に重要なテーマです。

こうした分析手法を採用するからこそ、長期視点の驚異的な値動きを分析する糸口を見つけることができるのです。逆に、有事だけ、逆相関だけ、といった感覚的な旧来の考え方で分析をしようとすればするほど、「高くて買えない」という結論が出てしまうのです。

時間軸の異なる複数のテーマがもたらす上下の圧力が絶えず相殺され、その結果、今日に至る長期視点の価格高騰が起きていると考えられます。感覚に頼らない、「七つのテーマ」に基づいた分析こそ、現代の金(ゴールド)相場の今を明らかにし、先々を照らす、強力な武器になり得ると、筆者は考えています。

図:ドル建て金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2025年)
図:ドル建て金(ゴールド)に関わる七つのテーマ(2025年)
出所:筆者作成

 

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。超就職氷河期の2000年に、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして活動を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。「過去の常識にとらわれない解説」をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌、インターネットなどで幅広く、情報発信を行っている。大学生と高校生の娘とのコミュニケーションの一部を、活動の幅を広げる要素として認識。キャリア形成のための、学びの場の模索も欠かさない。