米シェール、ついに曲がり角を迎えた!?

著者:吉田 哲
ブックマーク
原油(WTI先物)反落。米原油在庫の増加などで。60.45ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,481.35ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反落。20年05月限は13,165元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反発。20年02月限は474.0元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで550.65ドル(前日比終値比 変わらず)、円建てで1,926円(前日比終値比 13円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(12月18日 15時2分頃 先限)
 5,190円/g 白金 3,264円/g 原油 41,440円/kl
ゴム 199.7円/kg とうもろこし 24,400円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「米シェール、ついに曲がり角を迎えた!?」

今回は「米シェール、ついに曲がり角を迎えた!?」として、12月16日に米エネルギー省(EIA)が公表した米シェール主要地区に関する月次統計から、同地区における仕上げ済井戸数と稼働リグ数について書きます。

以前の「シェールの開発過程を確認する」で書いた通り、米シェール主要地区における開発工程は、探索・開発・生産の3つに分けることができます。

真ん中の開発は、前工程の掘削と後工程の仕上げに分けられます。

掘削とは、リグ(掘削機。生産をする施設ではない)を稼働させて井戸を掘る作業です。

仕上げとは、原油の生産を開始するために行われる、最終的な作業です。

具体的には、掘削した井戸に対し、壁面をセメントで固め、水と砂と少量の化学物質を高圧で注入し、井戸の先端部分のシェール層を破砕し、原油を抽出できるようにする作業です。

生産に最も近い工程である仕上げは、全工程の中で最もコストがかかると言われています。

そのため、仕上げが行われる、ということは、数カ月後には、原油の生産を開始し、それを売って収益を上げることが前提となっている、と言えます。

16日に公表されたデータを参照した以下のグラフから、先月(11月)は、仕上げが終わった井戸の数が、やや多めに減少したことがわかります。

仕上げ済井戸数の減少は、将来の同地区の原油生産量の減少の一因になると考えられます。

もちろん、以前の「米シェールの生産効率、徐々に過去最高に接近」で書いたとおり、“質”にあたる生産効率を示すデータは引き続き上昇傾向にあるため、“量”にあたる井戸の数が減っても、必ずしも生産量が減少するとは限りません。

しかし、少なくとも“量”に、やや黄色信号がともっている点には、引き続き注目していかなくてはならないと思います。

図:米シェール主要地区の仕上げ済井戸数とリグ数
単位:基
米シェール主要地区の仕上げ済井戸数とリグ数

出所:米エネルギー省(EIA)より筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。