勧告された追加減産日量60万バレルの配分を考える

著者:吉田 哲
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原油(WTI先物)反落。主要株価指数の反落などで。50.16ドル/バレル近辺で推移。

金反発。ドルインデックスの反落などで。1,576.85ドル/トロイオンス近辺で推移。

上海ゴム(上海期貨交易所)反発。20年05月限は11,345元/トン付近で推移。

上海原油(上海国際能源取引中心)反落。20年04月限は399.9元/バレル付近で推移。

金・プラチナの価格差、ドル建てで604.15ドル(前日比0.05ドル縮小)、円建てで2,123円(前日比2円拡大)。価格の関係はともに金>プラチナ。

東京市場は以下のとおり。(2月10日 18時36分頃 先限)
 5,550円/g 白金 3,427円/g 原油 36,850円/kl
ゴム 177.0円/kg とうもろこし 23,590円/t

●東京原油 1時間足 (単位:円/キロリットル)
東京原油 1時間足

出所:楽天証券の取引ツール「マーケットスピードCX」より

●本日のグラフ「勧告された追加減産日量60万バレルの配分を考える」

前回は「“サウジ頼み”をやめれば、減産強化は効果が上がる!?」として、協調減産開始以来、OPEC加盟国の中で減産に参加している国々の原油生産量に注目しました。

今回は「勧告された追加減産日量60万バレルの配分を考える」として、OPECプラスが現在行っている減産の全体像を確認した上で、先週、JTC(共同技術委員会)が勧告した追加削減量の日量60万バレルを、OPEC側、非OPEC側がどのような配分で削減することになりそうかを考えます。

まずは、現在行われているOPECプラスの減産について確認します。表中の減産基準量は原則2018年10月の生産量で、ナイジェリアの減産基準量は各種報道をもとにOPECが2019年1月に公表した値を修正し、2019年12月で脱退したエクアドルを除外しています。

削減量のルールは2018年12月に決定したものをベースに、2019年12月に“追加”されています(“強化”と報道されることもあります)。

追加後の削減量の合計は、今のところ日量168万4000バレルです。これが“日量170万バレルの減産”と報じられている箇所です。

この日量およそ170万バレルの削減をOPEC、非OPEC別でみると、OPEC側がおよそ70%、非OPEC側がおよそ30%を担っています。

まだロシア側が合意していないという報道があること、勧告を受けたOPEC総会の開催時期が未定である(もともと臨時総会は3月5日・6日に予定されている)ことなど、不透明な要素はあるものの、仮に、今回JTCが勧告した日量60万バレルの追加削減について、この比率で分けた場合、OPEC側が日量およそ42万バレル、非OPEC側が同18万バレルを追加で削減する可能性があります。

次回以降、仮にOPEC側が42万バレルを削減することとなった場合、実際にどれだけ減産をすれば減産順守を達成できるのか、について筆者の考えを述べます。

図:現在実施中の減産の内容(2020年2月10日時点) 単位:千バレル/日量


出所:OPECの資料および各種報道より筆者作成

このコラムの著者

吉田 哲(ヨシダ サトル)

楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。“過去の常識にとらわれない解説”をモットーとし、テレビ、新聞、雑誌などで幅広く、情報配信を行っている。2020年10月、生涯学習を体現すべく、慶應義塾大学文学部第1類(通信教育課程)に入学。